関電・高浜原発の使用済み核燃料の一部、「フランスへ搬出」の奇策...「県外」の約束履行のため「一時逃れ」?

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行き詰まる「核燃料サイクル」の国策 使用済み燃料の再処理工場は、予定から25年以上遅れ...いまだにめど立たず

   もっとも、この問題の根本には、使用済み燃料の処理の道筋がみえないことがある。

   フランスへの輸送に関しても、これまで行き場のなかった使用済み燃料を一時的に海外に運んだとしても、問題の先送りに過ぎない。

   使用済燃料の再利用をめぐっては、以下のような背景がある。

   日本は使用済み燃料を再処理して、原発の燃料として再利用する「核燃料サイクル」を国策に掲げている。しかし、青森県六ケ所村で建設中の再処理工場はトラブルが相次いだ。そのため、完成予定から25年以上が経過し、26回の延期を経ても完成に至っていない。

   そもそも、核燃料サイクルは、高速(増殖)炉でMOX燃料を使い、使用済みMOX燃料も再処理し、再び高速炉で使用するのが本来の姿だった。だが、サイクルに必須の高速炉開発が原型炉「もんじゅ」の廃炉で頓挫し、計画は事実上破綻している。

   かくて、各地の原発内では保管する使用済み核燃料が増え続けている。

   かといって、原発推進の国の政策は変わらない。とくに、東京電力福島第1原発事故後の2013年、原発の運転期間を「原則40年、最大延長20年」とするルールが定められた。

   もとより、延長には地元同意が必要だ。関電は2020年以降、福井県内で該当する美浜3号機と、高浜1、2号機の3基に関する手続きを進め、その過程で使用済み燃料の県外搬出に関して前記の(23年までに中間貯蔵施設の候補地を示す)約束をした。だから、福井県が40年超の運転を実質的に容認したという経緯がある。

   なお、「中間貯蔵施設」とは、再処理工場の完成が見通せないなか、一時的に保管するが施設のことだ。そもそも、関電は2015年、「30年ごろに2000トン規模で中間貯蔵施設の操業を開始する」との計画を策定しているが、そのめどは立っていない。

   そのうえ、中間貯蔵施設は、国内では東京電力ホールディングス(HD)と日本原子力発電は青森県むつ市に共同で建設しているだけ。関電はその施設の共同利用を目指したが、むつ市に拒まれ、他の候補地も見つからず、23年までに候補地を示すという約束の履行が不可能になっていた。

   以上が、今回のフランスへの移送決定に至る事態の流れだ。

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