学校も夏休みとなり、子どもたちをテーマパークなどのレジャーに連れていきたいと思う親御さんも多いのでは?
そんななか、東京商工リサーチ(東京都千代田区)は、「主な遊園地・レジャー施設の『価格改定・値上げ』調査」の結果を2023年7月14日に発表した。
国内の主な遊園地、テーマパーク、動物園、水族館など主要107施設を対象に、2022年7月以降で値上げを表明した施設を集計したのが今回の調査だ。それによると、直近1年間(2022年7月以降)に値上げや価格改定(見込みを含む)を公表したのは62施設(構成比57.9%)だった。
業態別の値上げ率では、最高が「公園・アスレチック」の17.7%。今回の調査では最下位だったのが「テーマパーク」で11.3%にとどまった。これは、テーマパークの場合、もともと値上げ前の平均入場料が5831.4円と最も高かったことから、1施設当たりの値上げ幅は最も小さく抑えられたかたちだ。
値上げの実施...動物園は15施設、遊園地は16施設
各地のレジャー施設では、施設運営に伴う人件費や、電気代などの光熱費に加え、仕入れの際のコストアップなどで、サービスの値上げの実施が相次いでいる。
では、具体的な実情とは――。調査によると、各地の主な遊園地、レジャー施設107施設のうち、入場料やプレー料金は2022年6月末に比べ、62施設(構成比57.9%)で値上げしたことがわかった。
値上げを実施した62施設の内訳は、遊園地が16施設(構成比25.8%)、水族館が15施設(同24.1%)、動物園・サファリパークが13施設(同20.9%)と続く。
同社は「遊園地や水族館は、施設やアトラクションの稼働・維持に電気が欠かせず、電気代の値上げは収益悪化に直結する」としている。
なお、業態別の値上げ実施状況では、遊園地が「76.1%」、水族館が「65.2%」、公園・アスレチックが「61.5%」、テーマパークが「52.6%」、動物園・サファリパークが「41.9%」で、値上げや値上げ見込みとなっているという。
また、土日祝日や夏休み期間など、日や期間などの需要動向に合わせて料金が変動する「ダイナミックプライシング」を導入するのは「14.0%」の15施設だという。
東京商工リサーチでは「大規模で来場者も多い施設では、料金値上げだけでなく来場者の分散化が期待される変動制の導入も加速している」とコメントしている。
値上げ率低い施設は「水族館」「動物園・サファリパーク」「テーマパーク」
また、業態別の「値上げ率」で見ると、トップは公園・アスレチックの「17.7%」。同社は「公園や屋外アスレチックをメインに展開する施設は入場料が数百円から1000円台が中心で、値上げ前の平均入場料は1243.7円と他の業種と比較して最も低い」という。それが、値上げ率が高まった要因となっているようだ。
次いで、遊園地が「14.6%」。遊園地は、値上げ前の平均入場料が3478.1円と5業態の中で2番目に高かったが、昨年から続く電気代・人件費が経営の負担となっている。
そして、13.0%アップの「水族館」は、水道代や水温・水質の維持への対応などで電気代の負担が重く、コスト吸収のためには値上げが避けられなかったようだ。
一方で、「テーマパーク」は「11.3%」とほかの業種と比べて値上げ幅は最小になった。もっとも、栃木県の江戸ワンダーランド日光江戸村では、大人1日を4800円から5800円に値上げ。東京ディズニーランドは2023年10月から繁忙シーズンの最高値が9400円から1万900円へと1500円アップするなど、1000円を超える価格改定が見られている。
東京商工リサーチでは以下のように調査を総括している。
「コロナ禍での一時休業や時短営業による稼働低下から、テーマパーク、遊園地では、人員削減を余儀なくされた。だが、コロナ前の稼働環境に戻すためには、安全確保のためにも人員拡充が避けられず、新規採用へのコストが負担になっている」
「実質賃金が2023年5月まで14カ月連続で前年同月を下回り、様々な物価高が家計に押し寄せている。それでもコロナ禍で我慢を強いられた子供たちが、遊園地、テーマパーク等でみせる笑顔は何事にも代えがたい。親だけでなく、遊園地、レジャー施設もコストアップと価格転嫁の板挟みが続きそうだ」