高額な報酬にもかかわらず、なぜカルロス・ゴーンは危ない橋を渡ったか?

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日仏ともに司法当局は行き詰まり...事件は「半永久的に保留扱い」

   日本での裁判は中断したままだが、オランダの裁判所はゴーンに対し、日産と三菱が共同出資して設立されたオランダの法人に500万ユーロ近くの給与を返済するよう命じた。

   ゴーンは控訴するつもりだと言い、逆に不当解雇だとして、1500万ユーロの支払いを求めている。

   フランスではゴーンがルノーの資金を流用した疑いがあるとして、フランスの検察が国際逮捕状を発布した。ゴーンは否認し、フランスで裁判に臨みたかったが、当局にパスポートを取り上げられているためレバノンから出られない、としている。

   日本でもフランスでも、司法当局は行き詰っている。事件は「半永久的に保留扱い」となり、「ゴーンは当分、贅沢だが自由のない金色の檻から出ることはないだろう」と結んでいる。

   「当人に知らせないまま報道しない」というウォール・ストリート・ジャーナルの基本ルールに従い、本書に登場するすべての重要人物には、ここで明かされる事実についてコメントする機会を提供したという。したがって、ゴーン本人の反論コメントも随所に載っている。

   徹底した取材に感嘆した。行き過ぎたグローバリズムを諌める書として、長く歴史に残るだろう。(文中、一部敬称略)(渡辺淳悦)

「カリスマCEOから落ち武者になった男」
ニック・コストフ、ショーン・マクレイン著、長尾莉紗、黒河杏奈訳
ハーパーコリンズ・ジャパン
2640円(税込)

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