「青い鳥」惜しむ声! ツイッターロゴが突然「X」になって騒然 海外メディアが指摘する「億万長者はなぜ、ブランド再生が苦手なのか」(井津川倫子)

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億万長者はリブランドが苦手? 米IT系メディア「一番喜んでいるのはザッカーバーグ氏だ」?

   それにしても、長年にわたって築き上げてきたブランドイメージを、こんなにもたやすく手放してしまうマスク氏。買収後のトラブル続きで、ガタ落ちになった企業イメージを挽回するための策だと評するメディアもありますが、今のところ、成功には至っていない様子。

   米国のIT系のメディアは、「今回のツイッターロゴ変更を一番喜んでいるのはマーク・ザッカーバーグ氏だ」と、皮肉たっぷり。2021年10月にザッカーバーグ氏が「フェイスブック」を「Meta(メタ)」に変更しましたが、これまでのところ、ブランド再生はうまくいっていないと指摘。マスク氏のロゴ変更騒動が、ザッカーバーグ氏の失敗を目立たないようにしてくれた、と分析しています。

   たしかに、「Meta」よりも「フェイスブック」の方が、そして「X」よりも「ツイッター」の方がより身近に感じますし、人々の生活に入り込んでいる印象です。

   ザッカーバーグ氏もマスク氏も、「フェイスブック」の社名や「青い鳥」のロゴを変更した背景には、VRやARの導入を促す「メタバース構想」や、他事業との親和性を追求する「X構想」があるようですが、人々の行動は、なかなか計算通りに変えられるものではありません。

   記事が指摘するように、誰もがVRゴーグルをつけて生活したいと思っているわけではなく、そのあたりの「民意」を読み間違えると、ブランド再生はうまくいかないものです。

   億万長者になって、宇宙やメタバースなど大きな世界を描こうとすればするほど、「民意」が見えなくなってしまうものでしょうか。「ツイッター」も「フェイスブック」も、一人ひとりのユーザーの集合体です。

   名もないユーザーの声に耳を傾けることがブランドが生き残る秘訣だと、それが「のれん」につながるのだと、ブランド論の基本を学んだ気がします。

   それでは、「今週のニュースな英語」は、「rebrand」(ブランドを再生する)を使った表現を紹介します。

Dunkin' Donuts rebranded as Dunkin' in 2019.
(2019年に「ダンキンドーナツ」は「ダンキン」としてブランド再生した)

Our next step is to rebrand the product and reach a larger market.
(我々の次のステップは製品をリブランドして、より大きな市場にリーチすることだ)

It's time for a complete rebrand.
(徹底的にブランドを再生する時期です)

   日本には「のれん」という考え方がありますが、人々に認知される「ブランド」を築くことは一朝一夕でできることではありません。マスク氏もザッカーバーグ氏も、新しいブランドを浸透させる難しさにこれから直面するのでしょうか。世の中には、お金で解決できないことがあるのだと、改めて認知しました。(井津川倫子)

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井津川倫子(いつかわりんこ)
津田塾大学卒。日本企業に勤める現役サラリーウーマン。TOEIC(R)L&Rの最高スコア975点。海外駐在員として赴任したロンドンでは、イギリス式の英語学習法を体験。モットーは、「いくつになっても英語は上達できる」。英国BBC放送などの海外メディアから「使える英語」を拾うのが得意。教科書では学べないリアルな英語のおもしろさを伝えている。
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