日銀も批判浴びずに金融緩和維持ができると、ホッとした?
ところで同欄で、米大統領選への影響に注目したのが笹川平和財団 上席研究員の渡部恒雄氏だ。
「バイデン大統領の支持率低下の2つの大きな理由は、高齢不安と経済政策への不満です。この2つの点で、世論調査では、バイデン大統領よりもトランプ前大統領への期待のほうが大きい、というのが米国の有権者の認識のようです。経済政策の不満の理由は、失業率は歴史的にみて低水準にもかかわらず、賃金上昇率よりも物価上昇率が高いということです」
と指摘。そのうえで、
「つまりFRBが軟着陸に成功すれば、もし来年の大統領選挙がバイデン氏対トランプ氏になった場合に、バイデン大統領の高齢化によほどの懸念が生じなければ、バイデン氏が有利になる重要な要素ということになります。市場関係者だけでなく、政治関係者もとても注目していることでしょう」
と強調した。
最後に同欄で、日本銀行の金融政策へ影響を取りあげたのが日本経済新聞社特任編集委員滝田洋一氏だ。
「株式市場が安心したわけは、過度な金融引き締めの不安後退とともに、景気後退の見通しの解消でした。パウエル議長は会見で、一層の『データ重視』を語るとともに、『FRBスタッフの景気後退見通し撤回』を披露しました。
ダウの13連騰は、議長がしつらえた景気軟着陸ムードに、投資家が肩の荷を降ろしたからでしょう。(恐怖指数の)VIXの低下にそんな市場心理がクッキリと」
と述べたうえで、
「同時に米国債利回りが低下し、ドル・円相場も1ドル=140円近辺とドル高が一服しました。日銀は7月27~28日に金融政策決定会合。今回は金融緩和を維持しても、市場にやいのやいの言われることはないでしょう」
と、日本銀行が肩の荷を下ろしたであろうと推測した。
ちなみに、日本銀行の金融政策に対しては、国際通貨基金(IMF)のピエールオリビエ・グランシャ調査局長が7月25日の記者会見で、日本でも物価上昇(インフレ)が続くとして、「日本銀行も金融引き締めを始める必要性に備えるべきだ」と指摘したばかりだった