物価の状況次第では、利上げの可能性か 日米の金利差拡大の行方は?
だが、6月のFOMCで公表されたドットチャート(経済見通し)では、参加者の2023年末の政策金利予想の中央値が、ドットチャートが前回公表された3月の5.1%から5.6%に引き上げられ、0.25%の利上げを年内にあと2回実施することが示唆された。
FRBはインフレを2%にすることを目標としている。パウエルFRB議長もFOMCのあとの記者会見で、6月の消費者物価が前年同月比3.0%の上昇にとどまったことに関して、「1つのデータにすぎず、もっとデータをみる必要がある」と述べている。
さらに、同議長は、今回の利上げに続き、次回の9月FOMCでも、「データで裏付けられれば、9月の政策決定会合で利上げを行う可能性は確かにある」とした。
このため、7月のFOMCで「利上げは打ち止め」との見方は時期尚早だろう。物価の状況次第では、FRBは再び9月のFOMCで利上げを実施する可能性は高い。
ただ、いずれにしても、米国の利上げが最終局面に差し掛かっているのは確か。その半面、いずれは日本銀行が大規模金融緩和策の変更から利上げへと進むことを考えれば、日米の金利差拡大も最終局面を迎えており、為替市場のドル高・円安の動きには歯止めが掛かることになりそうだ。
米国の利上げが継続されるのか、終了するのかは、9月のFOMCが正念場となりそうだ。夏場の消費者物価動向など、今後の米国の経済指標の結果が重要な意味を持つことになるだろう。(鷲尾香一)
【プロフィール】
鷲尾香一(わしお・こういち)
経済ジャーナリスト
元ロイター通信編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで、さまざまな分野で取材。執筆活動を行っている。