株価急騰! ぷらっとホーム社員の平均給与はいくら? 気になる業績推移もチェック!【よくわかる企業分析】

富士フイルムが開発した糖の吸収を抑えるサプリが500円+税で

   就職先や転職先、投資先を選ぶとき、会社の業績だけでなく従業員数や給与の増減も気になりませんか?

   上場企業の財務諸表から社員の給与情報などをさぐる「のぞき見! となりの会社」。今回取り上げるのは、コンピューターのファブレスメーカー、ぷらっとホームです。

   ぷらっとホームは、1993年にコンピューターおよび周辺機器の開発ならびに製造、販売を目的として設立。2000年に東証マザーズに上場しました。2007年には米カリフォルニア州に子会社を設立するものの、2009年に解散。2014年に東証二部に市場変更し、2022年に東証スタンダード市場に移行しています。

「22期連続赤字」で上場維持が危ぶまれるなかで...

   それではまず、ぷらっとホームの近年の業績の推移を見てみましょう。

   ぷらっとホームの売上高はここ数期11~12億円台で推移していましたが、2023年3月期に10億円を割り込みました。それよりも目を引くのが、常態化している赤字の状況です。

   直近5期間で黒字化した期はなく、さかのぼると2000年7月に東証マザーズに上場した初年度の2001年3月期に、1.4億円の当期純利益を上げたのが唯一の実績となっています。

   2023年3月期も、期首時点では売上高13.2億円、当期純利益0.16億円という予測を発表していましたが、11月に下方修正を行い、22期連続で最終赤字となっています。

   2023年3月末時点でスタンダード市場の上場維持基準のうち「流通株式時価総額」が基準に適合していなかったため、6月22日に「上場維持基準への適合に向けた計画」を発表しました。

   このなかで会社は、基準を充たしていない要因は「株価の水準が低いこと」という認識を明かしています。

   そして2026年3月末までに、基幹事業であるIoT事業により会社業績の経常黒字化を実現するとともに、「IoTをコア技術としたWeb3領域への参入」など新規領域への参入による事業の拡大を実現するとしています。

   そんななか、2023年7月24日に株価が2日連続ストップ高を記録しました。

手のひらサイズの「小型サーバー」を販売

   ぷらっとホーム創業者の本多弘男氏は、1960年代に東京・秋葉原のラジオデパート地下に電子部品販売店「本多通商」を開店。その後、店を閉めて栄電子に入社し、同社直営の「ぷらっとホーム」の店長に就任し、これがぷらっとホームの前身となりました。

   ぷらっとホームは「コンピューター関連製商品とサービス等を提供」する単一セグメントですが、品目として「自社製品コンピューター」「コンピューター関連商品」「サービス・その他」の3つをあげています。

   自社製品コンピューターとは、LinuxOSを搭載した手のひらサイズの小型サーバー。耐熱・耐塵設計、超低消費電力など常時稼働を求められる用途に適した仕様のため、IoTゲートウェイなどに利用されています。

   コンピューター関連商品には小型サーバーのオプションやミニキーボードがあり、サービス・その他には情報通信ネットワークのインフラ構築や改良を行う際のシステム設計・コンサルティングなどが含まれます。

   2023年3月期の外部顧客への売上高は、自社製品コンピューターが4947万円、コンピューター関連商品が2562万円、サービス・その他が2438万円となっています。

   2023年3月期の主要顧客は、ダイワボウ情報システムが1540万円、インターネットイニシアティブが1186万円です。

平均年齢48.6歳、平均年収618.7万円

   ぷらっとホームの従業員数は、2019年3月期の39人から、40人、38人、37人と増減していましたが、2023年3月期には33人まで減少しました。

   10年ほどで推移していた平均勤続年数は、2023年3月期には13年7ヶ月まで伸びています。平均年齢も、46.9歳から48.6歳と増加傾向にあります。

   平均年間給与は2022年3月期まで微増傾向にありましたが、2023年3月期に618万7191円に微減しています。平均年齢が横ばいであることを考えると、給与の比較的高い社員の退職があったのかもしれません。

   ぷらっとホームの採用サイトを見ると、正社員では「ソフトウェアエンジニア」「IoTプラットフォームソフトウェア開発者」「パートナー・エコシステム推進担当者」、契約社員では「即戦力/見習いエンジニア」を募集しています。

   ソフトウェアエンジニアの場合、「リーダーレベル」の想定年収は550~700万円。Linuxを基盤にした小型サーバ「OpenBlocks」シリーズや、ネットワークアプライアンス「EasyBlocks」シリーズのソフトウェア面からの企画・開発を担当するようです。

「日本酒輸出増実証プロジェクト」への参画で株価高騰

   2018年には6000円を突破したこともあるぷらっとホームの株価ですが、2022年7月に561円まで落ち込み、その後は500円台を推移していました。

   ところが、2023年5月の後半から株価が徐々に上がりはじめ、6月22日の「上場維持基準への適合に向けた計画」発表前後には1000円を突破。

   7月22日に、国内地域産日本酒の輸出拡大を図るための「Web3技術を活用した日本酒輸出増実証プロジェクト」の6社のうち1社として参画することが発表されると、株価は急上昇。7月25日には1370円の年初来高値をつけています。

   このプロジェクトは近年世界的な需要が高まりつつある「地域産日本酒」の輸出に適した「新しい輸出物流のモデル構築」を行うもの。これが成功すれば、IoTデータ伝送・ブロックチェーン基盤の構築において、ぷらっとホームの存在感が増すことになり、業績の改善につながる期待が高まっています。(こたつ経営研究所)

こたつ経営研究会
こたつ経営研究会
有価証券報告書や決算説明書などの公開情報を分析し、会社の内情に思いをめぐらすニューノーマルな引きこもり。昼間は在宅勤務のサラリーマンをしながらデイトレード、夜はネットゲームをしたりこたつ記事を書いたりしている。好きなピアニストはグレン・グールド。嫌いな言葉は「スクープは足で稼げ」。
姉妹サイト