「お客様の声が遠い」と感じて...いろんな人の声を取り入れる「モノづくり」の仕方を主導
新納さんの異色の経歴が明らかになった今回のインタビュー。新納さんの大学卒業後の進路とは?
新納さん 実は大学卒業後にも起業も考えましたが、「キャリアを積みたい」と考えて企業に就職することにしました。入社したのは楽器製作で有名な、ヤマハでした。
――非常に芯がしっかりされていますね!
新納さん そうですか? 自分は「目的なく動く」ということが、あまり得意ではないというのはあると思います。
――入社後はどんな仕事をなさっていたんでしょうか?
新納さん 入社後はエレキギターやエレキベースの開発部門に入りましたが、特に印象に残っているのは、新規事業開発にかかわるプロジェクトです。いま思うと、ここでの人を巻き込んでプロジェクトを進めていく経験が、その後の起業やAIサービス「Front Agent」の開発にも生きているのかなと思います。
このプロジェクトは私が会社に提案して始めたものなのですが、きっかけは開発部門にいたとき、「お客様の声が遠い」と感じることが多かったからです。言ってしまえば、「これだけデジタル化が進んでいる時代なんだから、いろんな人の声を聞いて、もっと最適化された製品開発ができるだろう」という思いがありました。
――どういうことでしょう? 詳しく教えてください!
新納さん このプロジェクトは、「一般のお客様はどういうことを考えているんだろう?」というニーズの部分を、開発者がいかにして持てるようになるかを体系化しようというねらいから始まりました。
広く一般の人の声も聞いていかなければ、どうしても井の中の蛙になってしまいますから。このような方針を立て、上司に提案。承認を得てからは、当初は社員の中で有志を集めました。最初は自分を入れても3人という規模でしたが、最終的には約200人の大所帯になりました。
――何か、もう起業しているみたいですね!