製造業「見える化」による業務効率化...達成していない52.4% 原因は、人材・予算・時間の不足

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   近年ではデジタルツールを活用して業務効率の向上をめざす製造業が増えている。

   そんななか、現場帳票電子化ソリューションを提供するシムトップス(東京都品川区)が2023年7月24日に発表した「製造業における『工場の見える化』に関する調査」によると、工場の「見える化」が「達成できていない」「取り組みをしていない」企業は52.4%と過半数を超えていることがわかった。

   その理由は、「ツールやシステムに詳しい人材がいない」(50.0%)、「現場情報の収集が紙ベースのため煩雑化している」(41.1%)、「取り組みのための予算や工数が不足している」(41.1%)という要因が上がり、リソース不足が原因にあるようだ。

   一方で、「工場の見える化」が必要と考えている人は、「非常に感じている」(48.6%)、「やや感じている」(37.4%)であわせて86.0%に上った。

   同社では「有効なシステムをいち早く導入することこそ、『工場の見える化』を進め、工場の生産性を加速度的に向上させる手段だと言えるのではないでしょうか」とコメントしている。

  • 製造業では業務効率化が喫緊の課題(写真はイメージです)
    製造業では業務効率化が喫緊の課題(写真はイメージです)
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達成している企業は「生産設備等の稼働情報の収集」「カメラを使用した現場状況の把握」「現場帳票のペーパーレス化」

   一般的に、工場における「見える化」では、生産現場の設備に各種センターを取り付け、それらのデータを整理・加工して、現場の作業者が理解しやすいかたちで可視化することが目的だ。メリットとして、工場の各工程や設備がどのような状況になっているかを把握し、生産性の向上などが挙げられる。

   この調査はIDEATECHが提供するリサーチPR「リサピー(R)」の企画によるインターネット調査で調査期間は2023年7月3日から10日までで、対象は製造業の工場管理者107人とした。

(シムトップスの作成)
(シムトップスの作成)

   はじめにの質問では、「あなたのお勤め先における、『工場の見える化』の推進状況を教えてください。」(n=107)と問いかけたところ、「取り組みを実施し、『工場の見える化』が達成できている」は「43.0%」、「取り組みを実施しているが、『工場の見える化』は達成できていない」は「39.3%」、「取り組みを実施できていない」とした回答者は「13.1%」となった。

   「取り組みを実施しているが、『工場の見える化』は達成できていない」と「取り組みを実施できていない」をあわせると「52.4%」となり、達成できていない企業が過半数となった。

(シムトップスの作成)
(シムトップスの作成)

   2つ目の質問では「取り組みを実施し、『工場の見える化』が達成できている」と回答した対象者に、「見える化」の達成に向けてどのような取り組みをしたか(n=46)聞くと、最多になったのは「生産設備等の稼働情報の収集」(71.7%)となった。

   次いで、「カメラを使用した現場状況の把握」が「58.7%」、「現場帳票のペーパーレス化」が「56.5%」、「センサーを設置して電力や温度データを収集」が「52.2%」となった。

(シムトップスの作成)
(シムトップスの作成)

   さらに同じ対象者(n=46)に、「見える化」されている項目を聞いた。最多になったのは「生産ラインの稼働状況」で「69.6%」、つぎに「生産計画の進捗状況」が「58.7%」、「従業員の作業能率(作業時間、生産高等)データ」が「58.7%」という結果が得られた。

「見える化」がなかなか進まない理由...1位「ツールやシステムに詳しい人材がいない」50.0%

(シムトップスの作成)
(シムトップスの作成)

   ここまでは達成している企業での取り組みを見てきたが、一方で取り組みがなかなか進まない理由とは何だろう?

   一つ目の質問で「取り組みを実施しているが、『工場の見える化』は達成できていない」「取り組みを実施できていない」と回答した対象者(n=56)に対して、見える化を推進する上での課題について聞いた。「ツールやシステムに詳しい人材がいない」が「50.0%」、「現場情報の収集が紙ベースのため煩雑化している」が「41.1%」、「取り組みのための予算や工数が不足している」が「41.1%」となった。材や時間、予算が足りていないことに原因がありそうだ。

   前述の質問で「わからない/答えられない」と回答した対象者に「工場の見える化」を進めるにあたって、生じている課題を自由回答で質問した。

   すると、

・的確なプロセスの決定が今ひとつ上手く行っていないため、可視化の効率が悪くなっていること(48歳)
・費用対効果が明確でないため説明が難しい(60歳)
・多品種少量生産のため設備投資ができない(59歳)
・コストの上昇(65歳)
・やり方がわからない(56歳)

   などの意見が上がった。

(シムトップスの作成)
(シムトップスの作成)

   引き続き、はじめの質問で、「取り組みを実施しているが、『工場の見える化』は達成できていない」「取り組みを実施できていない」と答えた56人に対して、「見える化したいと考えている項目を教えてください」と聞いた。最多は「生産計画の進捗状況」で「66.1%」、「生産ラインの稼働状況」が「57.1%」、「設備のメンテナンス状況」が「44.6%」、「不良品の原因や製品ごとの品質データ」は「42.9%」、「従業員の業務データ」は「35.7%」となった。

   前述の質問で「わからない/答えられない」と回答した以外の56人に対して、「見える化」したいと考えている項目について、自由回答で聞いた。

   その結果は、

・部品の在庫状況(60歳)
・材料在庫、製品の端数処理、管理(57歳)
・負荷状況(49歳)
・生産するにあたり、電気代などを秒刻みで可視化したい(48歳)
・従業員の年齢別、男女別の生産性を見えるかしたい(60歳)

   という回答が得られた。

(シムトップスの作成)
(シムトップスの作成)

   一方で、「あなたは、『工場の見える化』の必要性を感じていますか」と聞くと、「非常に感じている」は「48.6%」、「やや感じている」は「37.4%」、「あまり感じていない」は「10.3%」、「全く感じていない」は「0.9%」となった。

   「非常に感じている」と「やや感じている」をあわせると「86.0%」の人が必要性を感じている結果になった。

(シムトップスの作成)
(シムトップスの作成)

   また、「非常に感じている」「やや感じている」と回答した人(n=92)に具体的理由を聞いた。「工場の課題や問題の発見につながるから」が「65.2%」、「生産性や品質を担保することができるから」は「60.9%」、「無駄な業務やコストを削減できるから」は「57.6%」となった。

   この調査結果に対して、シムトップスは以下のようにコメントしている。

「今回の調査では、製造業の現場で、半数以上が『工場の見える化』を達成・実施できていない実態が明らかとなりました。
工場の見える化を実施する必要性を感じつつも、専門人材の不足や紙ベースでの運用が障壁となり、『見える化』が進まないというのが本音のようです。
有効なシステムをいち早く導入することこそ、『工場の見える化』を進め、工場の生産性を加速度的に向上させる手段だと言えるのではないでしょうか」
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