「見える化」がなかなか進まない理由...1位「ツールやシステムに詳しい人材がいない」50.0%
ここまでは達成している企業での取り組みを見てきたが、一方で取り組みがなかなか進まない理由とは何だろう?
一つ目の質問で「取り組みを実施しているが、『工場の見える化』は達成できていない」「取り組みを実施できていない」と回答した対象者(n=56)に対して、見える化を推進する上での課題について聞いた。「ツールやシステムに詳しい人材がいない」が「50.0%」、「現場情報の収集が紙ベースのため煩雑化している」が「41.1%」、「取り組みのための予算や工数が不足している」が「41.1%」となった。材や時間、予算が足りていないことに原因がありそうだ。
前述の質問で「わからない/答えられない」と回答した対象者に「工場の見える化」を進めるにあたって、生じている課題を自由回答で質問した。
すると、
・的確なプロセスの決定が今ひとつ上手く行っていないため、可視化の効率が悪くなっていること(48歳)
・費用対効果が明確でないため説明が難しい(60歳)
・多品種少量生産のため設備投資ができない(59歳)
・コストの上昇(65歳)
・やり方がわからない(56歳)
などの意見が上がった。
引き続き、はじめの質問で、「取り組みを実施しているが、『工場の見える化』は達成できていない」「取り組みを実施できていない」と答えた56人に対して、「見える化したいと考えている項目を教えてください」と聞いた。最多は「生産計画の進捗状況」で「66.1%」、「生産ラインの稼働状況」が「57.1%」、「設備のメンテナンス状況」が「44.6%」、「不良品の原因や製品ごとの品質データ」は「42.9%」、「従業員の業務データ」は「35.7%」となった。
前述の質問で「わからない/答えられない」と回答した以外の56人に対して、「見える化」したいと考えている項目について、自由回答で聞いた。
その結果は、
・部品の在庫状況(60歳)
・材料在庫、製品の端数処理、管理(57歳)
・負荷状況(49歳)
・生産するにあたり、電気代などを秒刻みで可視化したい(48歳)
・従業員の年齢別、男女別の生産性を見えるかしたい(60歳)
という回答が得られた。
一方で、「あなたは、『工場の見える化』の必要性を感じていますか」と聞くと、「非常に感じている」は「48.6%」、「やや感じている」は「37.4%」、「あまり感じていない」は「10.3%」、「全く感じていない」は「0.9%」となった。
「非常に感じている」と「やや感じている」をあわせると「86.0%」の人が必要性を感じている結果になった。
また、「非常に感じている」「やや感じている」と回答した人(n=92)に具体的理由を聞いた。「工場の課題や問題の発見につながるから」が「65.2%」、「生産性や品質を担保することができるから」は「60.9%」、「無駄な業務やコストを削減できるから」は「57.6%」となった。
この調査結果に対して、シムトップスは以下のようにコメントしている。
「今回の調査では、製造業の現場で、半数以上が『工場の見える化』を達成・実施できていない実態が明らかとなりました。
工場の見える化を実施する必要性を感じつつも、専門人材の不足や紙ベースでの運用が障壁となり、『見える化』が進まないというのが本音のようです。
有効なシステムをいち早く導入することこそ、『工場の見える化』を進め、工場の生産性を加速度的に向上させる手段だと言えるのではないでしょうか」