「脱炭素」で日本が変わる!
「週刊エコノミスト」(2023年8月1日号)の特集は、「脱炭素で日本が変わる! GX150兆円」。最新の注目技術や企業動向をまとめている。
冒頭で紹介しているのが、国内初の「e-メタン」事業だ。横浜市鶴見区にある東京ガス横浜ステーション。再生エネルギーによる水の電気分解で生成した水素と、発電所などから回収した二酸化炭素を反応させてメタンをつくる。
天然ガス由来の都市ガスは、89.6%を占める主成分がメタン。他産業から回収した二酸化炭素を製造過程に使えば、その分の排出を削減できたものとみなすことができる。再生エネルギーでつくった水素など非化石エネルギー源を原料に製造した合成メタン「e-メタン」に注目が集まっている。
鉄鋼業界の代表的設備である高炉での二酸化炭素発生を減らすため、コークスに代わる還元剤として注目されているのが水素だという。日本製鉄は、この「水素還元製鉄」の実証実験に取り組んでいる。
二酸化炭素排出量が少ない「電炉」への転換も検討されているが、原料となる鉄スクラップの確保が課題だ。
このほか、二酸化炭素を回収して、地中深くに閉じ込める「CCS」、住宅・建築物分野での取り組み、二酸化炭素と水素を合成する「カーボンリサイクル燃料」、直流送電による「次世代電力ネットワーク」、次世代原子炉などの取り組みを紹介している。
これらを積み上げると、官民合わせて150兆円の投資になるという。「日本の技術で世界をリードする」という西村康稔・経済産業相(GX実行推進担当相)のインタビューも掲載。
日本が、脱炭素社会の実現に向けて動き出しているのを実感できる特集だ。(渡辺淳悦)