ドトール・日レスHD株、3年7か月ぶり高値...第1四半期決算好調で買い集める 前期実績から6円の増配など...株主還元策の強化も歓迎

   外食大手、ドトール・日レスホールディングス(HD)の株価が2023年7月18日の東京株式市場で一時、前日終値比91円(4.3%)高の2224円まで上昇した。

   その後もさらに上値を追う展開となっている。連休を挟んで営業日としては前日となる14日の取引終了後に発表した2023年3~5月期連結決算が着実な客足の回復を示しており、買い注文が殺到した。あわせて発表した株主還元策の強化も歓迎された。

ドトールコーヒー、値上げ後も客数は増加傾向を維持 付加価値を高めた商品で、客単価も上昇

   それでは決算内容を確認しておこう。売上高は前年同期比15.2%増の351億円、営業利益は2.2倍の21億円、経常利益は86.5%増の22億円、最終利益は57.1%増の20億円だった。

   決算対象期間は、コロナが5類に移行後の3か月にほぼ該当する。ドトール・日レスHDは、「外出の機会が増えて人流がコロナ前にほぼ戻る中、ビジネス街や駅前立地の店舗の客足が急回復した」と説明している。

   ドトール・日レスHDとは変わった社名だなと思われる方もいるだろう。ドトールコーヒーと日本レストランシステムが経営統合し、2007年に現社名となった。

   今回の3~5月期連結決算のセグメント別の業績を見ると、ドトールコーヒーグループは売上高が前年同期比15.6%増の208億円、営業利益は2.3倍の11億円だった。

   ドトールコーヒーでは、22年12月に主力のブレンドコーヒーなどレギュラー商品の約7割を値上げした後も客数は増加傾向を維持している。3~5月期の既存店客数は前年同期比7.1%増だった。付加価値を高めた商品展開により、客単価も上昇している。

   一方、「星野珈琲店」「洋麺屋五右衛門」などを展開する日本レストランシステムグループは、売上高が前年同期比14.6%増の125億円、営業利益は3.4倍の7億円だった。

   既存店客数は前年同期比15.5%増と「2桁回復」を示した。

   両グループとも足並みをそろえたかっこうで回復しており、「どちらかが置いていかれていない」ということも、投資家には安心して買える材料となっている。

発行済み株式数の約1%に当たる45万株、9億5985万円を上限に自社株買いも 株主還元を進める姿勢が鮮明に

   株主還元策の拡大については、通期の業績予想を据え置くなかで、配当予想を上方修正した。前回予想の期末配当32円から4円増額し、36円とした。

   前期実績からは6円の増配となる。また、自己株式を除く発行済み株式数の約1%に当たる45万株、9億5985万円をそれぞれ上限に自社株買いを実施することも発表した。

   ドトール日レスHDは決算資料に「内部留保を今以上に大きく増加させる考えはございません」と明記し、株主還元を進める姿勢を鮮明にした。

   ドトール・日レスHDの株価純資産倍率(PBR)は1倍をわずかに超える程度と外食業界では低く、いわば放置されていた面がある。そうした意味からも株価がさらに上昇する可能性があるといえそうだ。(ジャーナリスト 済田経夫)

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