「スーパーアプリ」はご存じだろうか。1つのアプリの中に、さまざまなサービスのアプリが入った優れモノで、近年、経済成長が著しいアジア諸国を中心に広がっている。
日本での普及はどのくらいのものか。モバイル専門の市場調査会社「MMD研究所」(東京都港区)が2023年7月21日に発表した「スーパーアプリに関する利用実態調査」によると、知っている人はまだ4人に1人。しかし、利用したいという人は4割に達した。これって多いの? 少ないの?
1つのアプリの中に、多くのミニアプリが集合した優れモノ
「スーパーアプリ」とは、1つのプラットフォームとなるアプリ内に、人々の生活に役立つさまざまなジャンルの機能(アプリ)を搭載した統合サービスのことだ。いわば、ミニアプリの集合体だ。
たとえば、SNS、スマホ決済、EC(電子商取引))、保険の申し込み、公共料金の支払い、投資やローン申請、フードデリバリー、シェアカーやシェアサイクルの利用、タクシーやその他交通予約などのサービスアプリが入っている。そのため、新しいアプリを1つひとつダウンロードしたり、IDやパスワードを作成したりする手間が省ける。
旅行アプリを例にとると、友人と旅行の予約からタクシーやホテルの手配、必要なグッズの通販、さらには現地で使うキャッシュレス決済も1つのアプリで済んだらとても便利だ。
「スーパーアプリ」は欧米よりも、アジア諸国で広がっており、日本では「LINE」が代表格だろう。従来のチャットや電話に加え、ニュース、音楽、漫画、買い物、決済など、さまざまなサービスを次々と提供している。中国では「WeChat」(ウィーチャット)と「Alipay」(アリペイ)が2強だ。インドネシアでは「Gojek」(ゴジェック)が普及している。
スーパーアプリが注目されるのは、最近、日本国内でも開発の動きが加速しているからだ。政府が推進しているキャッシュレス決済の普及には、訪日外国人の増加とともにスーパーアプリの存在が欠かせなくなっている。