ネットスケープ対マイクロソフトの場合 リーダーのビジョンが大切
〇「勝利のための戦略 ネットスケープ対マイクロソフト」
ブラウザの競争において、ネットスケープは大きく先行していた。ウェブユーザーの圧倒的多数はすでにネットスケープを使っていた。マイクロソフトのビル・ゲイツは、新しいパソコンすべてにIE(インターネットエクスプローラー)があらかじめインストールされるなら、ユーザーがネットスケープを使う必要はなくなる、と考え、実際そう動いた。
マイクロソフトのウィンドウズをプレインストールしているすべてのコンピューター・メーカーに、IEをデフォルト・ブラウザとして抱き合わせで売るように通告した。その結果、新たにパソコンを買ったユーザーは、IEを使うしかなかった。
最初はあらゆる点でネットスケープに劣っていたIEだが、巨額の収益をもとに改良を続け、品質差がなくなるようにした。
マイクロソフトの戦術は、反トラスト法に違反していたが、米国政府の腰は重かった。その後の訴訟も乗り切った。「結局、ゲイツが攻撃的な戦術の結果として失ったのは、評判だけだった」と、回顧している。
ここでは、「百戦百勝は善の善なる者に非ざるなり。戦わずして人の兵を屈するのは善の善なる者なり」という「孫子」諜攻篇から引用している。
勝つためにはリーダーのビジョンが大切だというのだ。