少数派の所得の高い層が平均額を引き上げているが、平均を下回る世帯は61.6%という実態【日本の姿2:所得・貯蓄・借入金】(鷲尾香一)

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コロナ禍を経て生活感の変化は? 前年と比べて「貯蓄が減った」36.3%...理由は「生活費への支出」6割超

   さて、最後に新型コロナの影響から徐々に立ち直ってきていた2022年、生活感はどのように変化したのか。世帯主の年齢階級別に「貯蓄の増減状況」をみると、前年と比べて「貯蓄が減った」は全体で36.3%となっており、60歳以上では4割を超えている。(グラフ5)

   貯蓄の減った世帯の減額理由をみると、すべての年齢階級で「日常の生活費への支出」は6割を超えている。2022年は新型コロナからの立ち直りの時期だったとともに、今も続く強烈なインフレが起きていたことが、貯蓄の減額理由に大きく関係している。

   各種世帯の生活意識をみると、全世帯では「苦しい」(「大変苦しい」と「やや苦しい」の合計)が51.2%と半数を超えている。特に「母子世帯」では75.2%、「児童のいる世帯」でも54.7%が「苦しい」と回答している。こうした状況は、危機的な状況であり、政府は早急に物価対策を行うべきだろう。(グラフ6)

   今回は国民生活基礎調査から第1回目は少子高齢化の状況を、そして今回は所得の状況を通じて、国民の生活感に焦点を当てて見てきた。日本は決して豊かな国民生活を送っている国ではなく、問題が山積していることは明らかだ。

鷲尾香一(わしお・きょういち)
鷲尾香一(わしお・こういち)
経済ジャーナリスト
元ロイター通信編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで、さまざまな分野で取材。執筆活動を行っている。
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