マイナンバーカードをなくしたら... 健康保険証との一体化で持ち出しリスク増、「その時」どうしたらいい?

マイナンバー「特定個人情報ファイル」にアクセスできる人は?

   マイナンバーカードが第三者に拾得されると、個人の「マイナンバー」が特定され、悪用されてしまうリスクがある。

   河岸氏はレポートで、こう指摘する。

「問題となるのが、マイナンバーと紐づけた他の個人情報が拾得した第三者に漏洩するのかどうかという点だ。年金記録や口座情報などの情報が第三者に不正に閲覧されれば、マイナンバーカードの紛失は大きなリスクになりうる」

   ただ、

「マイナンバーカードだけでは、マイナンバーと紐づいた情報へのアクセスは困難だと考えられる。カードを拾得した第三者が落とし主のマイナンバーを特定できたとしても、マイナンバーは個人を識別する番号に過ぎないため、検索性を持つマイナンバーと個人情報のまとまり(「特定個人情報ファイル」)にアクセスできなければ、基本的に他の情報を引き出しようがないからだ」

   という。

   こうしたことから、マイナンバーカードを紛失した場合、それを拾得した第三者が特定個人情報ファイルにアクセスできるか否かが、情報の被害を考えるうえで重要なカギを握ることになる。

   一方で、マイナンバーカード(裏面の情報)に、どのような人が「特定個人情報ファイル」にアクセスできるのか――。

   カードに搭載されているマイナンバーは、個人情報保護法令(個人情報保護法・行政機関個人情報保護法・独立法人等個人情報保護法、その他地方公共団体が定める個人情報保護条例)に優先する番号法(特別法=「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用に関する法律(平成二十五年法律第二十七号)」)で保護されており、その利用範囲や利用者を厳格に限定している。

   マイナンバーを利用できる範囲は、個人番号利用事務または、個人番号関係事務(税・社会保障・災害に関する行政手続のことを指す。2023年6月時点)に指定された事務に限定している。

   それを利用する事務実施者(個人番号利用事務)は、行政や健康保険組合などの公的な性格を有する機関で、児童手当や年金給付事務などマイナンバーを取り扱う、行政手続全般の事務が該当する。

   また、補助的な事務を行う個人番号利用事務は、主に民間事業者が事務実施者になる。たとえば、自社の従業員に関して、企業が税務署に提出する法定調書へのマイナンバーの記入などが挙げられるという。

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