オレンジ果樹園が発祥だった!? リップルの証券性を占った「ハウイテスト」とは何か?【仮想通貨通信vol.15 後編】

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   こんにちは、ブロックチェーン関連の技術やプロジェクトを調査しています、ブロックスタです! 当コラム【仮想通貨通信】では最先端のちょっととっつきづらかったりする情報をわかりやすくお伝えして行きます!

   今回は、裁判の過程においてリップルが証券なのかどうなのかを判別するテストとして注目を集めた「Howey Test(ハウイテスト)」と、その起源にフォーカスしていきましょう!

「Howey test(ハウイテスト)」の起源とは?

   <オレンジ果樹園が発祥だった!? リップルの証券性を占った「ハウイテスト」とは何か?【仮想通貨通信vol.15 前編】>の続きです。

   それでは、「Howey test(ハウイテスト)」の起源となった、W.J. Howey Companyの事例を紹介しましょう。

   かつて、遥か昔の1930年代、アメリカ合衆国のフロリダ州には、美しいオレンジの果樹園が広がっていました。この果樹園を管理していたのが、今回の裁判でやり玉に挙げられたW.J. Howey Companyという企業。

   W.J. Howey Companyは、オレンジの栽培、収穫、販売事業に加え、オレンジ果樹園の土地を投資家たちに販売する事業を行っていました。

   投資家たちは、W.J. Howey Companyにお金を支払い、その見返りとして、土地の所有権とその土地から生み出されたオレンジの権利を得ました。

   これにより、投資家たちは自分たちのお金で何かを育て、収穫し、利益を得る共同事業に参加したことになります。

   つまり、理屈上は単なる土地の売買であり、「証券性」は存在しないこととなります。

   しかし、問題は投資家たちが自ら果樹園を運営したり、土地の開発に関与したりしないことでした。オレンジの栽培や収穫・販売は業務委託の形式でW.J. Howey Companyの労働者に任されていたのです。

   ようするに、実質的に投資家たちは、オレンジの栽培事業を営むW.J. Howey Companyに対してお金を出資しそこから得られた収益を分配してもらうという契約になっていたのです。

投資契約が4つの要件を満たす場合、「証券」とみなされることが示された

   そこで連邦証券取引委員会(SEC)は、このような投資契約が証券であると主張しました。

   しかし、W.J. Howey Companyはそれを否定し、証券法の適用を回避しようとしました。仮に証券だと認められれば、未登録の証券を販売したとして、罰せられてしまいますからね。

   そして、争点は最高裁判所に持ち込まれました。

   判決を下す際、最高裁判所は、W.J. Howey Companyの投資契約が証券であるかどうかを判断するために、新たな基準である「ハウイテスト」を創設しました。このテストは、投資契約が以下の4つの要件を満たす場合に証券とみなされることを示しました。

   次に掲げる基準に該当する契約に基づく権利を、「証券」とする。

i)資金の投資(investment of money)
ii)共同事業に(in a common enterprise)
iii)利益の期待(with an expectation of profit)
iv)他人の努力から(from the efforts of others)

出典:
https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/siryou/kinyu/dai1/f-20050208_d1sir/03_04_01.pdf

   わかりやすく言い換えると、「自分の努力を伴わず他人の事業に対して利益を期待して資金を投じていれば」証券だよ、ということです。

   結果的にオレンジ果樹園の事例では、これらの4要件を全て満たしており、「証券に当たる」と判決を下しました。

   この判決により、Howeyテストはアメリカ合衆国の証券法における重要な基準となり、投資契約の性質を判断する際に広く活用されることとなりました。

   さて、それではリップルの事例では「ハウイテスト」の結果、どのような判決がくだされたのでしょうか。

   最後に、リップルの判決について紹介します。

リップルの事例では?

   さて、以上のような事件をきっかけに整備された「ハウイテスト」。

   今回のリップルの裁判において一般消費者への販売については「ハウイテスト」の要件を満たすものではない、として、SECの主張を退けました。

   具体的には一般消費者へのリップル(XRP)の販売はほとんどが取引所を通しており、リップル社が直接販売したものと認知していたわけではない。したがって、リップル社への投資契約とは認められない、という結論です。

   この結論が今後どのような影響を及ぼすのかについては、また別の記事で紹介していきたいと思います。が、かなり大きな影響があることでしょう。

◆まとめ

   今回はリップルの裁判に際して用いられ注目を集めた「ハウイテスト」について、その起源を紹介していきました。100年近く前のオレンジ果樹園で整備されたテストがそのまま現在にも活用されているなんて、なんだか趣深いですよね。

   それでは次回、今回の判決がどのような影響をもたらすのかについて、詳しく解説していく予定です!(ブロックスタ)

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