このところ、出社勤務とリモート勤務を併用するハイブリッドワークがトレンドだ。では、ハイブリッドワーカーが望む理想の出社日数、あるいは生じている問題はどんなものがあるのだろうか?
バーチャルオフィス、オンラインイベントで使えるバーチャル空間の開発・提供をするoVice株式会社(石川県七尾市)は2023年7月11日に「大企業社員の勤務形態に関する実態調査」を発表した。
調査によると、出社への意義について「とても感じている」(29.4%)と「やや感じている」(45.9%)をあわせて75.3%だった。その一方で、出社に伴う通勤やランチ代の面でのストレスは「非常にそう思う」(32.1%)と「ややそう思う」(45.9%)をであわせて78%いることがわかった。
ハイブリッドワークならではの課題として、「連携をとるべき社員との出社のタイミングが合わない」(45.9%)や、「オンライン会議を行うための、個別に隔離されたスペースがない(少ない)」(37.6%)などが挙がっている。快適なハイブリッドワークのためには、出社日の調整や会社設備を変更するなど、まだまだ課題がありそうだ。
ハイブリッドワークの生産性 「かわらない」4割、「上がった」3割、「下がった」2割強
この調査は2023年6月12日から13日にかけてインターネットをつうじておこなわれたもので、新型コロナウイルスの5類移行後に出社が増えた大企業(従業員数1000人以上)に所属するハイブリッドワーカー109人が対象だ。
はじめに、出社回帰がはじまり、リモートワークが減ってきているハイブリッドワーカーに「あなたは、出社に意義を感じていますか?」と質問した。すると結果は、最多が「やや感じている」で「45.9%」、次いで「とても感じている」が「29.4%」、「あまり感じていない」は「16.5%」、「全く感じていない」は「7.3%」、「わからない/答えられない」は「0.9%」という結果になった。
「意義を感じている」(「やや感じている」と「とても感じている」の合計)は「75.3%」と過半数を超える結果になった。
2つ目の質問では、「出社が増えたことで、仕事へのストレスは増えたと思いますか?」と聞いた。すると結果は、「非常にそう思う」は「32.1%」、「ややそう思う」は「45.9%」となり、あわせて「78.0%」の人がストレスを感じているそうだ。
続いて、業務の生産性の変化を質問してみると、最多は「変わらない」で「40.4%」、次いで、「やや上がった」が「30.3%」、「やや下がった」が「20.2%」、「とても下がった」が「5.5%」、「とても上がった」が「2.8%」となった。
「上がった」(「やや上がった」と「とても上がった」の合計)は「33.1%」。「下がった」(「やや下がった」と「とても下がった」の合計)は「25.7%」となり、「変わらない」を除いてみると、「上がった」とする人の方が多数派であるようだ。
出社勤務のストレス 1位「通勤時間の増加」、2位「ランチ代など支出の増加」、3位「プライベートの時間の減少」
また、2つ目の質問で「非常にそう思う」と「ややそう思う」と答えた人(n=85)に対して理由を聞いてみると、最多は「通勤時間が増加したため」(75.3%)、次いで「ランチ代や交通費など支出の増加したため」(56.5%)、「プライベートの時間が減少したため」(51.8%)だった。
一方で、理想の出社頻度(n=109)について聞いてみると、最多は「週1日出社」で「27.5%」、続いて「週2日出社」が「22.9%」、「週3日出社」は「16.5%」、「月1~2回出社」が「11.9%」だった。
同社によると、「出社の意義を感じつつも、ストレスが多いため頻度は少なくしたいという意識がわかりました」という。
さらに、「出社とリモートワークが混在する環境において、生じている問題を教えてください」と聞いた。回答の多かった順に、「連携が必要な社員と出社のタイミングが合わない」(45.9%)、「オンライン会議を行うための、個別に隔離されたスペースがない(足りない)」(37.6%)、「フリーアドレスなどの導入で誰がどこにいるかわからない」(36.7%)、「出社時とリモート時で情報量に差が出る」(30.3%)、「会議室が足りずに、自由にミーティングができない」(27.5%)が上がっている。オフィス環境は完ぺきではないといった状況も読み取れそうだ。
oViceは「出社のタイミングが同僚と合わない、出社しても誰がどこにいるのか分からないなどの組織の『バラバラ感』や、出社した際にオンライン会議などが入った際の『話しにくさ』などに課題感を覚えている方が多い結果となりました」としている。