日銀のYCC修正ナシ、「円独歩安」で再び145円に向かう?
さて、7月下旬には日本銀行の金融政策会合とともに、FRBの金融政策会合であるFOMC(米連邦公開市場委員会、7月25日・26日)も開かれる。両者はどんな決定を下し、ドル円相場にどんな影響を与えるのだろうか。
それを、メインシナリオとサブシナリオで示したのが三井住友DSアセットマネジメントのチーフマーケットストラテジスト市川雅浩氏だ。
市川氏はリポート「FOMCと日銀会合後のドル円は円安か円高か」(7月21日付)のなかで、日本銀行とFRBの政策決定のメインシナリオとサブシナリオを、【図表2】の4パターンに示した。
(1)日本銀行ではYCC修正なし(メイン)。FOMCでは0.25%の利上げ、今後の政策判断はデータ次第(メイン)=円安。円は対ドル、対主要通貨で独歩安になる。
(2)日本銀行ではYCC修正へ(サブ)。FOMCでは0.25%の利上げ、今後の政策判断はデータ次第(メイン)=円高。円は対ドル、対主要通貨で独歩高になる。
(3)日本銀行ではYCC修正なし(メイン)。FOMCでは0.25%の利上げ、利上げ打ち止めを示唆(サブ)=ドル安・円安。ドルと円は対主要通貨で下落。ドル円は小動きになる。
(4)日本銀行ではYCC修正へ(サブ)。FOMCでは0.25%の利上げ、利上げ打ち止めを示唆(サブ)=ドル安・円高。ドルは対主要通貨で独歩安。円は対主要通貨で独歩高になる。
なお、市川氏が「日本銀行のYCC修正なし」と判断したのは、植田和男総裁が7月18日、インドで開かれた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の終了後に記者会見して、「(緩和姿勢の)前提が変わらない限りは全体のストーリーは不変」と明確に述べたことを重視したという。
市川氏はこう結んでいる。
「YCCの修正は予想しておらず、展望レポートの物価見通しも大きな変更はないと思われることから、異次元緩和継続の再確認により、相応に円安要因になる可能性が高いと考えています。ドル円は主に円安が進む形で、再び145円方向を目指す展開が想定されます。
ドル円は、市場が織り込む来年の米利下げ回数との連動性が高まっており、市場の関心はすでに、『年内の米利上げ終了時期』から『来年の米利下げ回数』に移っているとみられます」
(福田和郎)