米国を上回る消費者物価高止まり!日銀の政策修正あるか? エコノミストが指摘「メインシナリオは円独歩安」「株式市場だけが喜び、個人の消費に逆風」

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個人消費の回復の動きに、水を差す物価高

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物価上昇はいつまで続く?(写真はイメージ)

   こうした状況をエコノミストはどう見ているのだろうか。

   ヤフーニュースコメント欄では、三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査部主席研究員の小林真一郎氏が、

「6月の生鮮食品を除く総合は前年比3.3%上昇と、5月の同3.2%上昇から伸び率が拡大しました。政策による押し下げ効果を除けば4.3%の上昇であり、物価上昇の勢いに衰えは見られません。エネルギーは前年比6.6%低下と5か月連続でのマイナスですが、先月の同8.2%低下からは落ち込み幅が縮小しました。一部電力会社の値上げを反映して電気代のマイナス幅が縮小したためで、これが全体の伸び率拡大につながりました」

と説明。今後については、

「また、鶏卵、炭酸飲料、ハンバーガーなどを中心に『生鮮食品を除く食料』の上昇ペースが5月と同じ9.2%上昇と高止まっていることも、物価安定を妨げる要因となっています。
今後は、円安を受けてエネルギー価格が下げ渋ってくるほか、人件費上昇などを背景にサービス価格の上昇幅が拡大する可能性があり、しばらく高い伸びが続きそうで、コロナ禍の終息に向けた個人消費の回復の動きに水を差すことが懸念されます」

と、さらなる物価上昇が懸念されるとした。

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食料品が高過ぎてスーパーの買い物でも迷う(写真はイメージ)

   さて、大規模な金融緩和を続ける日本銀行への影響はどうか。

   日本経済新聞(7月21日付)「消費者物価指数、6月3.3%上昇 2か月ぶり伸び率拡大」という記事につくThink欄の「ひとくち解説コーナー」で、みずほ証券チーフマーケットエコノミストの上野泰也氏が、

「日銀動向を見ていくうえでも注目度が高い消費者物価指数(CPI)の6月分は、市場予想に沿う結果になった。生鮮食品を除く総合(コア)は22か月連続で上昇し、前年同月比プラス幅は『電気代』値上げを主因に5月から0.1%ポイント拡大した。だが、『電気代』や『都市ガス代』はこの先下落方向。また、生鮮食品とエネルギーを除く総合(日銀版コア)は前年同月比プラス4.2%になり、5月から0.1%ポイント鈍化した」

と指摘。つづけて、

「コアコアとも呼ばれるこのカテゴリーでプラス幅が縮小したのは2022年1月以来。物価の基調が強まっているのかに疑念を抱かせる数字と言える。7月金融政策決定会合といった早い段階での異次元緩和修正観測には逆風である」

として、日本銀行の政策修正の可能性は低いという見方を示した。

   同欄では、第一生命経済研究所首席エコノミストの永濱利廣氏は、

「なお、日銀が国債貸出制限を厳格化して以降、国債の空売り仕掛けはやりにくくなっていますから、イールドカーブの歪みも生じにくくなっています。むしろ、金融政策の出口を占ううえでより重要なのは、来週改定される日銀の25年度物価見通しでしょう。
日銀は安定的な2%の物価上昇を目指しているわけですから、これまでプラス1.6%の見通しとなっている2025年度のインフレ率が2%に近づかないと、出口には向かえないと思います。ただ、出口に向かわなくても、フォワードガイダンス(日本銀行が金融政策の先行きを示す指針)の強化などとセットでYCCの修正はあるかもしれませんが」

と、政策修正の可能性に言及した。

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