今春に新入社員として働き始めた人に、「35歳時点での理想の年収額」を聞いたところ、過去最高の727万3642円(加重平均)にのぼったことがわかった。
産業能率大学 総合研究所が「2023年度 新入社員の会社生活調査(第34回)」を2023年7月18日に発表した。
コロナ禍に新入社員となった2021年度の過去最低(559万3254円)から昨年度は695万3122円に大きく上昇が、それをさらに約32万円上回り、過去最高を更新した。今春の新入社員は、収入面で高い理想をもっているようだ。
35歳で「年収1000万円超」も12.8%に!
調査によると、2023年度の新入社員に35歳の時点での「理想の年収」を聞くと、最も多かったのが「600~700万円未満」で、20.8%の人がそう答えた。
次に、「500~600万円未満」と答えた人が19.5%、「700~800万円未満」と「1000万~1500万円」がともに12.8%、「400~500万円未満」が12.5%で続いた。
また、「~300万円未満」とした人が2.2%いる一方で、「2000万円以上」も2.9%いるなど、幅広く「理想の年収」をあげている。【図1参照】
この結果、加重平均値でみると、727万3642円となった。【図2参照】
ちなみに、2023年の新卒者の初任給(平均)は大学卒で月22万5686円、年収で270万8232円。大学院卒で月24万3953円、年収で292万7436円だった(労務行政研究所の調査。東証プライム上場企業157社)。
35歳といえば、入社して10年を超え、バリバリ働く中堅社員に成長している頃。とはいえ、初任給と35歳時点の「理想の年収」である727万円とは、じつに2.7倍、金額で456万円超の差を埋める必要があるわけだ。
「ジョブ型」と「メンバーシップ型」どちらの働き方を望む?
また、今春の新入社員に「ジョブ型雇用制度とメンバーシップ型の雇用制度では、どちらを望むか」と聞くと、「ジョブ型雇用」と答えた人が27.8%、「メンバーシップ型雇用」が22.5%となった。
前年度(2022年度)は、「ジョブ型雇用」が23.4%、「メンバーシップ型雇用」が26.2%と、新入社員は「ジョブ型」よりも「メンバーシップ型」を求める傾向にあったが、今年度はその傾向が逆転。より具体的な役割と成果に基づく「ジョブ型雇用」を好む傾向にあることがうかがえるようになった。
なお、「どちらでもよい」(会社の雇用制度に準じる)と答えた人は31.3%、「わからない」は18.4%だった。【図3参照】
さらに近年、「副業」制度を導入する企業が増えてきたが、「どの程度利用したいか?」と聞いたところ、「利用したい」と答えた人が40.8%にのぼり、過去最高となった。「どちらかといえば利用したい」の41.1%を合計すると、「利用したい」との意向がある人は、じつに81.9%にものぼった。
副業制度を「利用したい」という人は、過去最高だった昨年度(82.8%)から0.9ポイント減ったという。もっとも、この調査を開始した2018年度以降、依然として増加傾向にあり、2年連続で8割以上が「利用したい」と答えている。
一方、「どちらかといえば利用したくない」という人は11.7%、「利用したくない」と答えた人も6.3%いた。
なお、調査は産業能率大学が開催する新入社員研修の受講者を対象に、2023年3月29日~4月19日にインターネットで実施。就職活動の実態や仕事観、働く意欲や新社会人としての意識、将来のキャリアなどを聞いた。
有効回答者数は316人(内訳は、男性225人、女性88人、無回答3人)。調査は1990年度から実施しており、今年度で34回目となる。