日経平均株価が33年ぶりの高値圏で推移するなか、2023年6月の日本株売買代金は、「バーナンキ・ショック」があった2013年5月以来、約10年ぶりの高水準となった。こうした好調な株式市場を背景に、マネックス証券(東京都港区)で口座開設者の半数が若年層となったことがわかった。
特に20代は10年前の1%から18%まで増加し、若年層への投資の浸透が着実に進んでいることがうかがえる。
同社が社内の取引データをもとに株式取引の調査、分析を実施。その結果を2023年7月12日に公表した。
好調な株式市場 日米とも残高は増加傾向
マネックス証券の米国株取引が好調だ。
この10年間、米国の株式市場の強さに比例して、米国株の取引は顕著に伸びた。2020年7月には、約定代金ベースで米国株取引が日本株取引と同じ水準になるまでに成長。日本株の残高は3年で1.6倍に増え、米国株に至っては2.5倍に残高が増え、米国株が日本でも定着してきているようだ。【図1参照】
2022年は米国市場の低迷もあったが、23年に入ってからは日経平均株価の上昇に伴い、日本株の取引が増えてきたため、バランスが取れてきた日本株と米国株の取引比率は再び日本株が70%を超える水準となった。
だが、残高をみると、日本株、米国株ともに大きく増えてきているなど、株式市場自体が盛り上がり、マネックス証券での取引そのものが活況であることがうかがえる。
そうしたなか、マネックス証券では若年層への投資の浸透が、着実に進んでいるとみられる。
2023年を起点に、5年前、10年前の6月の新規口座の開設者を年齢別に比べると、30代以下の構成比が2013年は26%、18年は37%、23年が51%で推移していた。口座開設者の半数が若年層となったことがわかる。
特に、20代は10年前の1%から18%まで増えた。
人気銘柄にトヨタ、商社株、株式分割のNTTも...
次に、日本株の人気銘柄をみると、2022年は株主優待や配当利回り、連続増配のある企業の株式が多く取引された。【図3参照】
一方、2023年のランクイン銘柄は、この6月30日を基準日とした株式を分割した日本電信電話(NTT)やバークシャー・ハサウェイが買い増しを発表した商社銘柄に人気が集まったことがわかる。【図4参照】
若年層に新規口座の開設が広がっている背景には、上場企業が個人投資家向けに少額投資を可能にしたり、証券会社が単元未満株取引(1株から株式を購入できるサービス。通常の株式投資は100株単位での取引)を推進したりしていることがある。株式投資の「はじめの一歩」を、踏み出しやすくするのが目的だ。
マネックス証券の単元未満株取引「ワン株」の取引者数も大きく上昇を続けており、今年6月の取引は過去最高を記録した。23年6月の取引者数は前年6月と比べ、1.5倍。また、1日当たり約定金額では、6月14日時点で過去最高を更新した。
6月のワン株取引の人気銘柄をみると、株式分割を発表していた日本電信電話(NTT)の取引がトップ。4株保有していれば、7月以降に単元株となること、株式分割で株価の上昇が見込まれることなどが、売買が増えた要因と考えられている。
利回りがよく、増配が期待できる株価が高い銘柄が上位に並んでいることがうかがえる。【図5参照】