約3年にも及んだコロナ禍を経て、20代の3人に1人がコロナ禍の期間と比べて「働き方に変化があった」と答えていたことが、マーケティングリサーチのクロス・マーケティング(東京都新宿区)の「労働意欲と労働環境の変化に関する調査 2023年」でわかった。2023年7月12日に発表した。
今年5月、新型コロナウイルス感染症が「5類」に移行したことで、街中では賑わいを取り戻しつつあるなか、働く意欲や環境はどのように変化しているのか――。調査は、コロナ禍からの変化を分析した。
「同じ仕事だが、スタイルが変わった」人は20代、30代で11.4%
調査によると、コロナ禍の期間と比べた働き方の変化(n=1100)を聞いたところ、全体の4人に1人(25%)がコロナ禍の期間と比べて「働き方に変化があった」と答えた。
具体的には、「同じ仕事だが、スタイルが変わった」「転職するなどで仕事そのものが変わった」「起業した」「副業を始めた」「仕事をやめて無職になった」「仕事をしていなかったが、仕事に就いた」といった人たちだ。
なかでも、「同じ仕事だが、スタイルが変わった」と答えた人が11.5%を占めた。
一方で、「仕事に特に変化はなかった」と答えた人は50.4%。「コロナ禍も今も仕事はしていない」という人も24.6%いた。
これを世代別でみると、20代(n=220)の3人に1人(31.8%)が、コロナ禍の期間と比べて「働き方に変化があった」と回答。なかでも、他の世代と比べて「仕事をしていなかったが、仕事に就いた」と答えた人が4.1%、「転職するなどで仕事そのものが変わった」という人が8.2%と多くいたことがあげられる。
「同じ仕事だが、スタイルが変わった」と答えた人は、20代、30代とも11.4%。「転職するなどで仕事そのものが変わった」という人は、30代でも6.8%と目立った。【図1参照】
また、身の回りの「働く環境」で感じる変化(n=1100)を聞いたところ、「無人販売やセルフサービスのお店が増えた」と答えた人が16.5%で最も多かった。
次いで、「飲食店などで、手が足りてないなと思うことが増えた」が13.3%、「自分の職場で人手が足りなくなった」と答えた人が11.3%で続いた。【図2参照】
マスクを外したら、モチベーションが上がった?
また、調査では「コロナ禍での仕事に対するモチベーション」と「今の仕事に対するモチベーション」について聞いた。
コロナ禍の期間も今も仕事をしている人(n=763)に、コロナ禍での仕事に対するモチベーションを聞いたところ、「モチベーションが高かった」と答えた人は31.8%(「高かった」と答えた人6.6%と「やや高かった」人25.3%の合計)だった。
「やや低かった」と答えた人が52.2%と最も多く、「低かった」人も16.0%いた。【図3参照】
一方、コロナ禍の期間も今も仕事をしている人(n=763)に、「今の仕事に対するモチベーション」を聞いたところ、「高い」と答えた人(9.0%)と「やや高い」(38.7%)を合わせた47.7%が「モチベーションが高い」と答えた。【図4参照】
コロナ禍と比べて仕事のモチベーションが上がった理由を聞いたところ、
「マスクを外したことで表情がわかるようになった」
「プライベートが充実した」
といった声が寄せられた。その半面、モチベーションが下がった理由としては、
「コミュニケーションの変化で疲れる」
「出社が増えて時間に余裕がなくなった」
などが影響しているようだ。【図5参照】
人手不足で不安...「若い人が入社してこない」
さらに、仕事に対する心配なことや不安なことを聞いたところ、
「新しい会社に慣れていくの大変」(20代男性)
「副業を始めたが、なかなか波に乗らずこのまま続けてもいいのかなと不安」(30代女性)
「仕事の人手が足りない。若い人が入社してこない」(30代男性)
「人との距離感が難しくなった」(40代女性)
「働き方の変化についていけない」(50代男性)
「またコロナみたいなことが起きたときが心配」(60代男性)
といった声が寄せられた。
働き方の変化や、人との接し方や付き合い方といった社会の変化に対する不安や心配、また労働時間の増加や人手不足などの労働環境の変化への不安の声があがった。
なお、調査は全国47都道府県の20~69歳の男女を対象に、2023年7月7日~9日にインターネットで実施。有効回答者数は1100人。