中国不動産大手の超ド級赤字が、金融危機の導火線に? エコノミストが指摘「世界が高インフレと戦うなか、中国だけデフレ」「日本株は来年急降下する?」

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「デフレ」と「資産デフレ」のダブル・デフレのリスクが...

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経済の最先端・深セン市の夜景(写真はイメージ)

   中国は「デフレ」と「資産デフレ」のダブル・デフレのリスクが高まっていると指摘するのは、野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミストの木内登英氏だ。

   木内氏はリポート「中国のダブル・デフレのリスクと強まるディレバレッジ(債務圧縮)」(7月18日付)のなかで、こう述べている。

「欧米を中心に主要国では物価高騰が続いているが、中国では価格が下落基調に転じつつあり、『資産デフレ』と『デフレ』のダブルのデフレリスクが高まっており、他国と大きく異なる経済情勢を呈しているのである。
中国当局は、不動産部門に焦点をあて、金融、財政双方から景気刺激策を講じ始めている。しかし、不動産価格をきっかけに、企業、家計ともに本格的に債務圧縮、いわゆるディレバレッジに動いているのであれば、6月に実施された金融緩和の需要刺激効果は出にくい。また、不動産価格が下落を続ける中では、土地売却収入に依存する地方政府による積極財政政策は実施されにくい。
そもそも、中央政府は、行き過ぎた不動産価格の調整、企業、家計の過剰債務削減という構造改革を進める考えであり、単純な景気刺激策の実施には慎重だ」

   つまり、積極的な景気対策をやっても政策効果が出にくい状態、というわけだ。

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上海市の高層ビル群

   そして現在、中国では家計、企業、地方政府ともに過剰債務を抱えている。その額は、国際決済銀行(BIS)によると、対GDP比(昨年9月時点)で295%に達し、米国の257%、ユーロ圏平均の258%を上回る。

   可処分所得に対する家計債務の割合は110%に迫り、2008年の世界金融危機前後の米国家計の債務水準に急速に近づいている。

   そこで、木内氏はこう指摘する。

「このような過剰債務状態のもとで、資産価格の下落をきっかけにディレバレッジが本格的に始まれば、それは金融不安と重なって、深刻な経済の悪化をもたらしやすい。マッキンゼーの調査によると、米国では大恐慌(1929年)以降、ディレバレッジの局面が45回発生し、うち32回は金融危機の後だった」
「米国でも企業の債務は歴史的な高水準に達している。そうした中で生じている大幅利上げによる利払い負担の増加や銀行不安などを背景とした資金ひっ迫は、金融面での問題を伴いつつ、企業部門を中心としたディレバレッジ、経済活動の悪化につながりやすい」

   そして、木内氏はこう結んでいる。

「米国、中国どちらのディレバレッジがより深刻になるかは現時点では明らかではないが、注意しなくてはならないのは、それが同時に起こる可能性が相応にあるという点だ」

   もし、同時に起これば、米中発金融危機に発展するのだろうか。

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