2023年4月の遠隔操作型小型車(自動配送ロボット)の道路交通法の規制が緩和され、時代はまさに「モビリティ変革期」を迎え、さまざまなサービスが注目を集めている。
そんななか、2023年7月19日~21日、ZMP(東京都文京区)とお茶の水女子大学が連携して、お茶の水女子大学キャンパスを会場に、「ZMP World 2023~ロボタウンお茶大 お茶の水女子大学がロボットタウンになる3日間」を開催中だ。
J-CAST 会社ウォッチ編集部は初日の19日、会場をおとずれた。会場は活気にあふれており、さまざまな運搬用ロボットや工作ロボットが並び、「ロボットがインフラになるまち」を感じられた。
ZMPとお茶の水女子大の産学コラボ! 未来をつくる学生と企業・行政とのセッションに期待!
イベントでは、道交法の規制緩和によって「モビリティ変革期」を迎えた日本で、人とロボットが共生する街「ロボタウン」の社会実装を進めるZMPがさまざまな新製品や全国での実証事業の様子、製品のデモンストレーションを行う。2019年以来15回目の開催。
また、会場となったお茶の水女子大学は、2024年4月に「共創工学部(仮称)」の新設を予定しており、同学部では社会課題解決のための工学、新しい文化をつくるための工学を目指している。そのことから、ZMPと連携して学生が新しいロボットにふれる機会や産学官の交流する機会を提供した。
ZMPとお茶の水女子大学の今回の連携は、「ロボタウン」の社会実装の趣旨および共創工学部の趣旨に、互いに共感して、お茶の水女子大学のキャンパスで両イベントを共催にて開催するかたちとなった。
はじめに、ZMP社長の谷口恒氏とお茶の水女子大学学長の佐々木泰子氏があいさつした。
そのなかで、佐々木氏は2024年4月の共創工学部の設立によって、文教育学部、理学部、生活科学部に新しい学部を加え、これまで以上にグローバルに活躍する女性リーダーの育成を目指し、教育・研究に留まらず研究成果の社会への還元を行っていくことを強調した。
また、「学生の発表や数々のセッションを通じて、未来をつくる学生と企業・行政とのコラボレーションに期待する」と述べた。
続いて、谷口氏が自社で進める「ロボタウン」の構想について説明した。会社のヴィジョンとして「ロボットを社会インフラにする」を掲げ、3つのコア技術のシナジーで人にやさしく、ジェンダーレスなロボタウンをお茶の水女子大学とのコラボレーションで実現したいと思いを述べた。
続いて、ZMPのロボットを支える3つのコア技術についてロボタウン推進部長の河村龍氏が説明した。自動運転の基幹システムである「IZAQ」と、ロボット用自動運転3次元マップシステム「RoboMap」、管理・制御を行うロボットマネジメントプラットフォーム「ROBO-HI」があることを示した。
なかでも、自動運転に必需のデジタルマップ作製「RoboMap」では、さまざまなデータを収集して3次元マップを生成し、紐づいたロボットの走行ルートを検証し、走行経路の設定や障害物をかわすシステムになっていることを紹介した。
新型モビリティ大集合! 無人バスに自動運転小型車、自動追尾キャリーカートまで!
「ZMP World 2023」では数々の新型モビリティがお茶の水女子大学のキャンパスに並んだ。ZMPの主力商品である「歩行速ロボ」や「物流支援ロボット」、「自動運転ソリューション」、「ロボットマネジメントプラットフォーム」について担当者が説明した。
今回初めてのお披露目となったのは自動運転小型EVバス「RoboCar Mini EV Bus」だ。 この製品は、ZMPの自動運転ソリューションとして、中国の「ANKAI」社製の小型EVバスをベースとした自動運転小型EVバスである。自動運転に使用する各種センサー類と、頭脳でもある自動運転ソフトウェア「IZAC」を搭載している。
全長6.61メートル、全幅2.32メートル、全高2.87メートルで、乗車定員は11人。省力化の求められている、空港、工場・プラント・港湾施設・商業施設などの私有地におけるモビリティとして利用できる。
また、自動運転中にドライバーが操作介入するとマニュアル操作に引き継がれる「オーバーライド機能」も搭載しており、危険が迫ってもマニュアルで退避できるようになっている。
続いて同社が発表する新型モビリティは歩行速モビリティ「RakuRo(ラクロ)」だ。 自動運転の機能と小型パーソナルモビリティをかけ合わせた、若者から高齢の方まですべての人が便利に移動を楽しめる新しいパーソナルモビリティとなっている。
特徴として、自動運転機能であることに加え、ロボット自身が周囲とのコミュニケーションを図ることができる「人にやさしい」インターフェースが搭載されている。
フロント部分には、周囲に意思表示を行うLEDパネルが搭載され、進行や右左折、停止中など表情で周りに伝えることができる。
これまでに観光地などで実証実験され、ラクロを使った観光地のツアーや国立公園の周遊などに利用されてきている。
最後に紹介するのは物流支援ロボット「CarriRo(台車タイプ)」だ。
キャリロのモデルは3つあり、FD(追従モデル)、AD(自律移動モデル)、AD+(重量版自律移動モデル)がある。搬送現場の環境、 そして搬送する荷物の大きさや重量に応じて、さまざまなモデルを選ぶことができる。
主な特徴として、ドライブモード、カルガモモード、自律移動モードがある。ユニークなのが、「カルガモモード」だ。先頭で人に運転しているキャリロを2台目、3台目のキャリロが無人で追従することができ、これまで1人で1つのキャリーしか移動できなかったものが、何台も連なって移動させることができ省力化することができる。
なお、以降の日程では、千葉市動物公園、戸田建設、セコムなど企業・団体による事例発表や、成澤文京区長と学生のトークセッション、松本総務大臣と学生のトークセッション、デモンストレーションなどが行われる。