巣ごもり需要の増加や非接触で買える手軽さから、「自動販売機」があらためて注目されている。特にこれまで有人で販売していた業態までもが、自動販売機で売っているケースも出てきた。
ではいま、無人販売の業界はどのような進化をしているのだろうか?
J-CAST 会社ウォッチでは今回、さまざまな自動販売機を調べてみた。第3回の今回のテーマは「遠出した時、気になった自販機」。全国のサービスエリアでコンビニ自販機設置を行う企業と、過疎地域に1軒だけの無人店舗を始めたまちの担当者に話を聞いた。
サービスエリアや工場、オフィスで展開するファミリーマートの自販機コンビニ
<いま、多彩な自販機が話題に Z世代など若年層にも人気の自販機とは?【1:食べ物編】>と<いま、多彩な自販機が話題に アートグッズの自販機ってなんだ?【2:街中で気になった編】>の続きです。
サービスエリアやパーキングエリアでは、自動販売機の並ぶ無人の販売所をよくみかけるようになった。
高速道路のサービスエリアでの自販機コンビニに、かねてから力を入れてきたのがファミリーマート(東京都港区)だ。同社ではASD(自販機型無人コンビニ)の設置を、首都高の南池袋パーキングエリアや芝浦パーキングエリア(上り)、各会社事務所や学校、製造工場など全国約2200か所に展開してきている。
自販機コンビニでは、ファミリーマートの取り扱い商品の中から、定番のおむすびやパン、サンドイッチ、カップ麺、お菓子などを手軽に購入できる。運転中の休憩や、勤務中の補給などで利用されている。
ファミリーマートの広報担当者に話を聞くと、
「2010年から『am/pm』の事業を引き継ぐかたちでASDを展開している。関東一円、関西、九州、愛知にて約2200台を設置し、お客様にご愛顧されております」
とし、およそ13年かけて規模を拡大してきたとのことだ。
過疎のまちで唯一の自動販売所オープン! 地域の利便性向上&観光客への特産品アピール!
さらに、地域課題解決に自販機を活用するまちがある。
北海道紋別郡湧別町の計呂地地区。この地域は、人口減少の影響で歩いて買い物に行く商店がない過疎の状態だった。買い物に行くにも湧別町街区や佐呂間町街区の車で15分ほど運転しなければならず、車を持たない高齢者や子どもには不便な場所となっていた。
そこで住民の利便性向上のため、湧別町と大規模ファームの中谷牧場が協力して、24時間営業の無人販売所「ARVO 24H STORE」を2023年5月にオープンした。
ここでは、中谷牧場の新鮮なジャージー牛の生乳や6次産業化で作られたデザート、生活に必要な日用品、からあげなどの軽食、パン、インスタント食品などが並んでいる。
出店を支援した湧別町役場の職員は
「商店のない計呂地地区の住民の皆さんの利便性向上が一番の目的。しかし、サロマ湖のほとりの交通公園の近くにあるので、観光で来て休憩する方にも湧別で作った特産品を楽しんでいただければ」
と話してくれた。
3回にわたってお届けしたように、インスタント食品やデザート、アート作品、お土産など、これまで思いつかなかった新商品が生まれている。進化の止まらない無人販売の業界に、今後も注目したい。