会場整備費、運営費ともに資金不足は確実? いずれ国民負担も...
大阪・関西万博を巡る難問は、建設の遅れに終わらない。最大の問題は、資金不足だ。
万博に関する資金の枠組みは、「ハード」の会場整備費と、「ソフト」の運営費に大別される。
具体的に、会場整備費は日本政府、大阪府・市、経済界の3社が3等分して負担する。運営費は主に、入場料収入で賄う算段だ。民間や海外のパビリオンに関する費用は、この枠組みとは別で出展者の負担となる。
会場整備費は約1850億円の計画だが、地元経済界は「(その範囲内で賄うのは)かなり難しい」(関西経済連合会の松本正義会長)との認識で一致している。
ただ、さらなる財政負担を嫌う財務省が難色を示している模様で、このままでは建設途中で資金が底を突く懸念も広がっている。
2020年時点で809億円と想定した運営費は、人件費の単価増に加え、雑踏警備や要人警備の体制強化を迫られており、警備費の上振れが確実視されている。
前売り入場券の購入を事実上割り当てる動きも関西の経済界で始まったものの、開幕が近づいてきて、建設費節約のために質素なパビリオンばかりになりかねないということなら、入場券の売れ行きが失速しかねない。
万博が終了して資金が不足した場合の負担の枠組みは、はっきりしていない。ただ、国際博覧会は政府主催であるため、何らかのかたちで国民負担を迫られることになる見通しだ。
いったん動き始めたら、風向きが悪くなっても止められない......。
そうやって日本が何度も繰り返してきた失敗のリストに、新たに大阪・関西万博が加わるのだろうか。(ジャーナリスト 済田経夫)