配属先は「勤務地・職種ともに自分で判断して選びたい」という学生が54.0%で最多に――。マイナビ(東京都千代田区)が2023年7月7日に発表した「マイナビ 2024年卒大学生 活動実態調査(6月)」で明らかになった。
新卒社員は配属先を選べない状況が多いことから「配属ガチャ」といわれるが、こうした不安の裏返しの結果なのだろうか。
来春卒業予定の大学生の内々定率、6月末で79.5%
調査によると、2024年卒業予定の大学生・大学院生の内々定率は2023年6月末時点で79.5%となり、前月比9.3ポイント増えた。内々定保有社数の平均は前月比0.3社増え、2.5社となった。
企業の高い採用意欲を背景に、内々定率・平均内々定保有社数ともに、引き続き高い水準で推移している。【図1、2参照】
また、内々定がもらえていない学生に、現在就職活動で困っていることを聞いた(n=450)ところ、最も多かったのは「面接を通過できない」ことで、50.9%だった。前年から2.3ポイント増えた。
次いで、「将来やりたい仕事がわからない(わからなくなった)」の37.5%で、前年比0.9ポイント減。「自分にあった企業をどのように探せばいいかわからない(わからなくなった)」と答えた人は35.4%で、同0.7ポイント減となった。
「学業との両立が難しい」と答えた人は、前年から1.1ポイント増えて34.9%だった。【図3参照】
困っている内容とは、具体的には――。
「練習どおりに面接選考に臨んでいるが、どうしても最終面接まで進むことができない」(文系女子)
「最終面接の通過率が悪いこと」(理系女子)
「緊張で口ごもってしまうからか、面接を一度も通過できずに悩んでいます。また、自分なりに手ごたえのあった面接でも通過できなかったことで、精神的に打ちのめされ、就職できないのではないかと不安を抱えています」(文系男子)
「企業研究が上手にできずに、面接で業務内容などの質問をされると回答に困ってします」(文系女子)
「面接でなぜ落とされるのかわからず、改善のしようがない」(文系女子)
といったように、最終面接での悩みが寄せられている。
なんと86.9%の学生が「勤務地を自分で選びたい」と答えた
また、2024年卒業予定の大学生・大学院生に、入社後の配属先(勤務地・職種)に対する考えを聞いたところ、「勤務地・職種ともに自分で適性を判断して、選びたい」と答えた人が54.0%で、前年に引き続き最も多かった。
マイナビはその理由を、
「インターンシップや仕事体験への高い参加率を背景に、キャリア感の醸成が進んだことや、共働き志向の高まりやライフスタイルへの考え方が変化していることなどに伴い、入社後の勤務地や職種を自分で判断して決めたい学生が多いと考えられる」
とみている。
勤務地に着目すると、「勤務地を自分で選びたい」と答えた学生は前年比1.2ポイント増えて86.9%(「勤務地・職種ともに自分で適性を判断して、選びたい」と「勤務地は自分で選びたいが、職種は適性をみて会社に判断してほしい」の合算)にのぼった。【図5参照】
入社後の配属希望「自ら伝えた」学生は40.9%!
また、入社後の配属をいつ知りたいかと聞いたところ、入社前(「内定通知前の面談・面接」、「内定通知と同時」、「内定式」、「内定通知後から入社前まで」の合算)は、前年比1.7ポイント増えて87.7%となった。
内々定した企業に、入社後の配属希望を自ら伝えたことがある学生(内々定者、n=1866)は40.9%で、「企業側から希望を聞かれたので答えた」人は27.3%だった。
配属先を自分自身で選択したいと考える学生が多いなか、入社後の配属希望に関して企業と話す機会を得られている学生が一定数いることがわかった。【図6、7参照】
キャリアリサーチラボの研究員、長谷川洋介氏は
「配属先について『勤務地も職種も自分で決めたい』『入社前に知りたい』という学生が前年よりも増加し、今年も多く見られました。また、内々定保有者の中には入社後の配属先について内々定先の企業に自ら伝えたり、逆に配属希望を聞かれたという学生が多数いることもわかりました。
『配属ガチャ』という言葉にもあるとおり、入社後の配属が不透明であることは学生にとって不安材料の一つとなります。そうした不安や、配属に関する入社後のミスマッチを解消するうえでも、学生・企業間で配属先について話す場を早い段階で設けることは重要で、こうしたコミュニケーションをより積極的に取っていってほしいと考えます」
とコメントしている。
なお、調査は2024年3月卒業見込みの全国の大学生、大学院生(マイナビ2024の会員)を対象に、2023年6月24日~30日に実施した。有効回答者数は、2472人(内訳は、文系男子517人、文系女子1062人、理系男子423人、理系女子470人)。