セブン&アイ・ホールディングス(HD)が検討している傘下の百貨店「そごう・西武」の売却計画に絡み、「そごう・西武労働組合」がストライキを実施する検討に入った。大手百貨店のストは1950年代に実施されたことはあるが、近年では極めて異例だ。
背景には、経営側が従業員に対する情報開示に応じないことがある。従業員の不信感が高まっているとされ、売却自体の行方にも影響が及ぶ可能性もある。
当初から従業員の反発大きく 人員削減の懸念、店舗イメージが変わることへの不満
そごう・西武労組は2023年7月3日、スト権確立の是非を問う投票の実施を組合員に告示した。結果は25日に公表される見通し。賛成が過半数となれば、スト権が確立される。同百貨店の従業員は約5000人にのぼり、うち8割が組合員だ。
セブン&アイHDは2022年11月、米ファンドのフォートレス・インベストメント・グループに「そごう・西武」を売却すると発表した。フォートレスは、ヨドバシカメラの持株会社であるヨドバシホールディングス(HD)と組み、「そごう・西武」の店舗運営を行う方針とされている。
この売却計画に対しては当初から、従業員の反発は大きかった。大幅な店舗閉鎖や人員削減が不可避とみられたからだ。 また、旗艦店である西武池袋本店(東京都豊島区)にはヨドバシカメラが出店する可能性が高く、同本店の売り場縮小による影響だけでなく、百貨店のイメージが変わることへの不満の声も上がっていた。
しかし、経営側はフォートレスなどに対する「守秘義務」があるとして、従業員への十分な情報提供を行ってこなかった。同労組が異例ともいえるストの検討に入ったのは、経営側に説明を求めるためには、実力行使に打って出る必要があると判断したからだ。
同百貨店の全国10店舗で実際にストが実施されれば、客だけでなく、取引先やテナントなど多方面に及ぼす影響は大きく、経営側は何らかの対応を取らざるを得ないとみられる。