韓国は容認、中国は反対、太平洋の島嶼国は反応分かれる IAEAグロッシ事務局長、周辺国に報告内容の説明行脚
他方、中国や韓国、太平洋の島嶼国など、海外の反対や懸念の声も根強い。
韓国では7月7日、海洋放出計画について韓国政府としての報告書を公表し、「計画が守られれば、IAEAなどが示す国際基準に合致すると確認した」と言明。海洋放出による韓国海域への影響はほとんどないとの認識も示し、海洋放出を事実上、容認した。
もっとも、この間の尹錫悦(ユンソンニョル)政権による日韓関係改善の動きに合致するものとの見方もあり、革新系野党「共に民主党」が海洋放出に強く反対しているだけでなく、世論も「放出反対」が多数を占めるなど、先行きは不透明感が払しょくできない。
中国は、米中対立に伴う対日関係の冷え込みもあって、強く反対。外務省の汪文斌副報道局長は5日の定例会見で、放出計画には中国の庶民が強い関心を寄せているとしたうえで、「(放出に踏み切れば)中国は海産物などの輸入検疫を強化する」と述べた。
太平洋島嶼国の反応も分かれる。
パラオのウィップス大統領は6月の訪日時、海洋放出への理解と支持を表明にした。しかし、太平洋の18か国・地域で構成する地域協力機構「太平洋諸島フォーラム(PIF)」のプナ事務局長は6月下旬、「この問題で共通の理解に至るにはさらなる対話が必要だ」とする声明を発表し、意見が割れていることを示唆した。
IAEAのグロッシ事務局長は離日後、韓国、クック諸島、ニュージーランドを訪問して報告内容を説明の行脚を続ける。これも、市民レベルを含めて、海洋放出への理解が十分に広がっていないがゆえのことだろう。