福島原発、処理水の「海洋放出」へ最終段階 工事は完了、IAEAも「国際基準に合致」のお墨付き だが、地元の反対、周辺国の懸念も強く...「夏」開始は実現されるか?

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   東京電力福島第一原子力発電所(福島県)の汚染水を浄化した処理水の海洋放出開始に向け、事態は最終段階に差し掛かった。必要な工事の完了、国際原子力機関(IAEA)による「お墨付き」などの手順が着実に進んでいる。

   ただ、地元漁業者らの反対は根強く、岸田文雄首相はどの時点で、どのように決断するのか、予断を許さない。

  • 海から臨む福島第一原子力発電所
    海から臨む福島第一原子力発電所
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トリチウムを含む「汚染処理水」の保管タンク、24年2~6月ごろには満杯に

   J-CAST 会社ウォッチも「福島原発、処理水の『海洋放出』問題...海底トンネル工事始まるも、得られていない『地元理解』」(2022年8月15日付)などで報じてきたが、福島第一原発1~3号機では、溶け出した燃料を冷却するため、水と地下水が混じり合った高濃度の放射性物質を含む「汚染水」が日々発生している。

   東電は多核種除去設備「ALPS(アルプス)」で放射性物質の濃度を下げている。だが、ALPSで除去できない「トリチウム」という放射性物質が含まれているため、原発敷地内のタンクに保管している。これが、「汚染処理水(処理済み汚染水)」で、政府・東電は「処理水」、反原発派などは「汚染水」と呼ぶ。

   タンクはすでに1000基以上(容量は計約137万トン)がある。トリチウム以外の物質を除去していないものも含め、容量の98%(6月末時点)が埋まり、2024年2~6月ごろに満杯になる。

   これ以上のタンク増設は廃炉作業に支障が出るとして、政府は21年4月、海洋放出の方針を決定し、7月にはIAEAとの間で安全検証を実施することで合意した。

   これを受け、8月に東電が沖合1キロから海洋放出する計画を発表し、22年8月に海底トンネルなど関係施設の建設に着工した。政府は放出開始を「23年春から夏ごろ」との方針を示していた。

   除去できないトリチウムについては、放出前に処理水をさらに海水で薄め、濃度を国の基準の40分の1(1リットルあたり1500ベクレル)未満にしてから放出する。これは世界保健機関(WHO)の飲み水の基準(同1万ベクレル)の7分の1で、政府・東電は安全性に問題はないと強調する。

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