時間を「感情」でコントロールすると、仕事がはかどる理由【尾藤克之のオススメ】

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   なんで楽しい時間はこんなにあっという間に過ぎてしまうんだろう......。こんな感情を持ったことはないだろうか? 逆に、気が進まない、または、嫌な仕事を重たい気持ちでこなそうとしたときは「こんな辛い時間なんて早く終わればいいのに」などと思うものである。今回紹介するのは、時間術を感情面でのアプローチから解説した一冊である。

『いつも時間がないと悩むあなたに贈る 感情時間術』(高橋貴子著)産業能率大学出版部

楽しい時間は早く過ぎるのか?

   著者の高橋さんは、「楽しい時間が短い」「辛い時間は長い」という現象は実際には起こりえない、と指摘する。それはなぜか。

「物理的観点からすると、『1時間という時間そのもの』は同じリズムで粛々と流れています。私たちは【感情】という視点から【時間】をとらえてしまうから、『楽しい時間が短くて』『辛い時間は長い』と感じてしまうのです。時間を感情でコントロールするこれができれば、感覚的な時間は増えるはずだと思いませんか?」(高橋さん)
「『感覚的な錯覚なんて意味ないのでは?』と思う方もいらっしゃるかもしれません。私たちは、人生の中で一度ぐらいは『楽しい時間は短くて、辛い時間は長い』と感じたことが現実にあるはずなのです。趣味に没頭する時間、大好きな人と一緒にいられる時間は、ふと時計を見た瞬間には残念で切なくなるほどに時間が進んでいます」(同)

   その逆もある。退屈な授業、気の進まない会議、大嫌いな人とその場に一緒にいるだけで「早く時間が経たないかな?」と思った経験は誰にでもあると思う。

「時間の長さを『感情で錯覚した』ことになったとしても、その『マインド』で物事を処理するなら、格段に効率的に進めることも可能なのです。感情は平面ではなく、立体的な深さもあります。時間を感情という切り口から考えると、今までにないほど豊かでゆとりのある時間があなたの周りに存在していることに気づくはずです」(高橋さん)
「もともと女性は男性に比べて『マルチタスクが得意』な脳を持っています。これからの時代は、そんな男性脳 左脳型の方法だけではなく、女性脳型の『創造性』という特徴を活かした方法も重要になります。つまり『感情や共感』といったアプローチで時間を管理できると、女性はいっそう豊かに人生を過ごせることに気づいたのです」(同)

時間管理には「ソフト」と「ハード」が必要

   高橋さんが指摘する脳型とは、PCでいうOSに近いものである。OSの機能を引き出すソフト(アプリ)がなければ、上手く機能しない。たとえば、「早くレポートを作成しなきゃ」と思いつつも、翌日になってしまった。本日締め切りの企画に手をつけられていないなどの経験はなぜ起こってしまうのか。

   こうなってしまうのは、性格や能力ではない。脳が、面倒くさがっているからできないのである。つまり、脳からの伝達を速やかに動かすソフトがあれば、誰でも自分を動かすことができるようになる、ということでもある。

   また、行動する際にあれこれ考えると、理屈で動けないことがある。そのようなクセのある人は、「即アクション」を心がければいい。いろいろと考えると動けなくなるので、すぐに動くことを意識すれば、行動に移すことは難しくない。また、高い結果を求めずに「60点でOK」を心がけて行動したことを評価していけば、思考もポジティブに変化していく。

   本書は行動変容を学ぶためのメソッド集である。やりたいことがあってもなかなか行動ができず先延ばしにしているような人は気づきになるだろう。ステップバイステップで本書を読み進めるうちに、自然と従来の窮屈な時間管理方法の呪縛から解き放たれていく。まずは実践あるのみ、ぜひチャレンジしてもらいたい。(尾藤克之)

尾藤 克之(びとう・かつゆき)
尾藤 克之(びとう・かつゆき)
コラムニスト、著述家、明治大学客員研究員。
議員秘書、コンサル、IT系上場企業等の役員を経て、現在は障害者支援団体の「アスカ王国」を運営。複数のニュースサイトに投稿。著書は『最後まで読みたくなる最強の文章術』(ソシム)など19冊。アメーバブログ「コラム秘伝のタレ」も連載中。
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