今回紹介したいのは、最上級クレジットカードのNo.1コンシェルジュの「期待以上に応えるためのコミュニケーションの極意」を説き明かした一冊である。
クレジットカードのコンシェルジュは、電話口で声と耳だけで接客しなければならないそうだ。そのため、言われたことだけでなく、付加価値をつけた「期待以上」に応えるサービスが求められる。それは何なのだろうか?
『期待以上に応える技術』(網野麻理著)フォレスト出版
「究極のサービス」とは何か?
著者の網野さんは、究極のサービスを「お客様に気づかれないサービス」だと指摘する。それは、お客様に対し、常に期待を超える「プラスαの応対ができること」だと言う。
「私がよく使うラウンジのスタッフは、過去に注文したお茶の種類を覚えています。紅茶の種類だけでもものすごい数があるのですが、その中でも私の好みを覚え、毎それを出してくれるので、ティーカップにお茶がなくなりそうになると、こちらからお願いしなくても注いでくれます。常に充たされている状態でくつろぐことができます」(網野さん)
「このホテルがすばらしいのは、お客様のお茶の飲み方を見ている点です。カップいっぱいに注がれているお茶と、残り少ないお茶を飲み干そうとしているのとでは、それぞれ飲み方が違います。それを遠くから観察し、お客様のお茶がなくなった絶妙なタイミングで注ぎに来てくれるのです」(同)
お客様がくつろげるよう、最大の気配りをしながらサービスを提供する――。これこそが「期待を超えるサービス」と言える。