リモートワークやハイブリッドワークの浸透で、郊外でスローな暮らしのできる街への関心が高まっているという。
そんななか、不動産・住宅情報サービス「LIFULL HOME'S」を運営するLIFULL(東京都千代田区)が2023年7月6日に発表した、海のある暮らしを楽しめる湘南エリアに注目した「湘南ライフが叶う!家賃が安い駅ランキング」は参考になるだろう。
それによると、海や山に囲まれた自然豊かな湘南エリアの家賃は4万円台から6万円台から住むことができるという。では、ランキングの結果は? これを見ると、屋内プールのレジャー施設のあるあの街や、サッカーチームの熱心な応援で沸くあの街、「湘南祭」や花火大会で有名な街など、自然豊かで穏やかなバラエティに富んだ地域が並んでいる。
同率2位「平塚駅」、「香川駅」、「湘南深沢駅」5万6000円台 1位は4万円台!
この調査は、対象の駅を湘南エリア(葉山町、逗子市、鎌倉市、藤沢市、茅ヶ崎市、平塚市、大磯町)に限定して、LIFULL HOME'Sに掲載された築40年以内、駅徒歩20分以内、専有面積15平方メートル以上40平方メートル未満の賃貸物件の家賃相場(管理費を含む月額賃料から中央値を算出したもの)を調べたものだ。抽出した期間は2022年5月から2023年4月までとしている。
今年(2023年)は7月17日が「海の日」。首都圏エリアで働く/住む人にとっては、マリンレジャーを楽しめる近場といえば、湘南地区。今回のランキングは、その湘南地区にスポットを当てたものだ。サーフィンなどの趣味を中心にした生活や、時間に追われないマイペースなライフスタイルを実現できる魅力的なエリアである。
さっそくランキングを見てみると、1位は「大磯駅」(JR東海道線ほか、大磯町)で家賃相場は4万7000円となった。
次いで、2位が同率で、「平塚駅」(JR東海道本線ほか、平塚市)と「香川駅」(JR相模線、茅ケ崎市)、「湘南深沢駅」(湘南モノレール、鎌倉市)が並んで、5万6000円だった。
さらに、5位は「六会大前駅」(小田急江ノ島線、藤沢市)と「善行駅」(小田急江ノ島線、藤沢市)が5万7000円で並んでいる。
1位の大磯町の「大磯駅」といえば、海と山に囲まれた落ち着いた街。屋内プールのレジャー施設「大磯ロングビーチ」がよく知られ、電車はJR東海道本線と湘南新宿ラインが乗り入れており、都内ターミナル駅へのアクセスもよいのが特徴だ。2位「平塚駅」は、平塚市の海岸公園施設「湘南ベルマーレひらつかビーチパーク」があり、年中を通してビーチバレーやビーチサッカーなどのさまざまなスポーツを楽しめる。
複数の路線が乗り入れ、東京駅まで1時間程度で行けるアクセスのよさ
7位から20位までのランキングは以下のようになっている。
2位の「香川駅」にくわえて、8位「北茅ヶ崎駅」、9位「茅ヶ崎駅」の3駅がランクインしているのが茅ケ崎市。茅ヶ崎市は穏やかな住宅地が広がり、イベントが多いのも魅力。「湘南祭」や「サザンビーチちがさき花火大会」や、フリーマーケット、農園マルシェなどが各所で開催されている。
LIFULL HOME'Sでは、「特に『茅ケ崎駅』は、駅から徒歩約20分で『サザンビーチちがさき海水浴場』に行くことができます。また、複数の路線が乗り入れており、都心の多くのエリアまで乗り換えなしで行けるなど交通利便性の高さも魅力です」と説明している。
2位「湘南深沢駅」があるのは鎌倉市。おなじみ、寺社仏閣など歴史を感じられるスポットが点在するなど、日本有数の人気観光地だ。鎌倉市では、海に面したエリアで9位「七里ヶ浜駅」、山に囲まれたエリアでは17位「北鎌倉駅」がランクインしている。
今回のランキングに関して同社では、通勤や通学の利便性について、次のように指摘する。
「今回のランキングでは、『大磯駅』『平塚駅』『茅ケ崎駅』『辻堂駅』『北鎌倉駅』など、複数の路線が乗り入れていて東京駅まで1時間程度で行ける駅が多くランクインしました。
ビジネスタイムは都内で過ごし、休日や早朝はサーフィンなどの趣味に時間を費やすなど、都内に通いながらも自然豊かな湘南でスローライフを叶えたいという人には特に魅力的なエリアといえます」
チーフアナリスト・中山氏「本格的なテレワーク時代の到来に、魅力的な居住候補の1つとして注目のエリア」
また、LIFULL HOME'S総研 副所長兼チーフアナリストの中山登志朗氏は
「テレワークという労働環境が前提となり始めており、職住が近接する必要性が薄れるとともに、自分の働き方やライフスタイルに合わせて居住エリアを選択できるようになりました」
と指摘。そのうえで、湘南エリアの首都圏からのアクセスのよさに関して、
「たとえば首都圏で海水浴やマリンスポーツが楽しめるのは神奈川と千葉ですが、千葉は内房では木更津以南、マリンスポーツの盛んな外房はテレワーク対応でも都心方面に通勤するためには片道2時間以上必要です。対して神奈川の湘南は、東京から1時間前後でアクセス可能です」
と説明する。さらに、湘南エリアの住みやすさについて、次のようにコメントしている。
「マリンスポーツや釣り、トレッキングなどのアクティビティも充実していて、湘南ならではの生活が楽しめるのも大きな魅力です。都心から離れていることで賃料水準も安価で、東京の湾岸エリアのように海を眺めるだけではなく、実際に海を楽しむ生活が実現可能です。本格的なテレワーク時代の到来に、魅力的な居住候補の1つとして注目されるエリアです」