「当期総利益」では742億円の黒字に 運用のマイナス要因にグローバル株式・グローバル債券の資産価格の下落、プラス要因に為替の寄与
この結果、2022年度末の「運用資産額」は9兆9644億円、実現収益額(簿価ベース)に評価損益額の増減等(時価ベース)を加味した収益額(運用手数料等控除前)の「総合収益額」は604億円のマイナス(元本比0.6%減)となった。
また、損益の「当期総利益」は742億円の増加、保有資産の時価評価による評価差額は1259億円だった。
資産構成割合は、グローバル債券が54.6%(5兆4445億円)、グローバル株式が17.2%(1兆7101億円)、オルタナティブが0.6%(643億円)、短期資産(預金等)が27.6%(2兆7455億円)となっている。(グラフ)
また、運用手法別の資産構成割合は、グローバル債券のパッシブ運用が11.1%(1兆1039億円)、同自家運用が43.6%(4兆3406億円)、グローバル株式(パッシブ運用)が17.2%(1兆7101億円)、オルタナティブ(アクティブ運用)が0.6%(643億円)だった。
運用成績では、資産全体の収益率は2.2%のマイナス、グローバル債券が3.6%のマイナス、グローバル株式が1.7%のプラス、オルタナティブが4.5%のマイナスだった。(表)
収益率および収益額となった主な要因として、マイナス要因はグローバル株式およびグローバル債券の資産価格の下落、プラス要因は為替の寄与としている。
大学ファンドの当面の目標は、2026年度末までの可能な限り早い段階で、3000億円の運用益を達成することだ。
なお、大学ファンドによる助成は、各大学が作成する「国際卓越研究大学研究等体制強化計画」に対して、国際的に卓越した研究の展開及び経済社会に変化をもたらす研究成果の活用が相当程度見込まれる大学を「国際卓越研究大学」として、文部科学省が認定して実施される。7月現在、2024年度中の助成開始を目指し、国際卓越研究大学の公募・選定が進んでいる段階だ。
JSTの運用が好結果をあげ、各大学への助成が順調に進み、大学の研究活動が活発化することで、日本の技術革新が進み、経済へ好結果をもたらすことを望むばかりだ。