1億円以上の負債が6割占める
物価高倒産を負債額別でみると、最も多かったのが「1億円以上5億円未満」の134件(前年同期比226.8%増)で、全体の44.6%を占めた。また、「5億円以上10億円未満」が19件(同111.1%増)、「10億円以上が24件」(同140.0%増)で、合わせて「1億円以上」が177件で約6割(59.0%)を占めた。【図3参照】
資本金別でみると、「1000万円以上」が165件(前年同期比243.7%増)で、全体の55.0%を占める。中堅クラスにも影響が及んでおり、事業規模を問わず、物価高が企業経営に大きな影響を及ぼしていることがうかがえる。
地区別の倒産件数は、9地区のすべてで前年同期を上回った。増加率が最も大きかったのは、「北陸」の前年同期比1300.0%増(1→14件)だった。
次いで、「関東」が456.2%増(16→89件)、「中部」の300.0%増(9→36件)、「近畿」207.1%増(14→43件)、「東北」190.9%増(11→32件)と続いた。前年同期がゼロだった「四国」で10件発生した。
都道府県別でみると、最も多かったのは、「北海道」の29件(前年同期比123.0%増)。次いで、「東京都」の28件(前年同期ゼロ)、「大阪府」が21件(同110%増)、「埼玉県」と「神奈川県」がそれぞれ17件、「兵庫県」が13件、「三重県」12件、「宮城県」と「福岡県」が各11件、「愛知県」が10件で続いた。
7月に入り、再び円安基調で推移するなか、原材料や資材価格だけでなく、光熱費の上昇などの物価上昇が続いている。価格転嫁が追い付かず、コロナ禍の支援策の副作用ともいえる過剰債務を抱え、金融機関から新たな資金調達が難しい企業は少なくない。
経営の体力が脆弱な企業を中心に、物価高が倒産を押し上げる構図がさらに強まっている。
なお、調査は2023年上半期(1~6月)の企業倒産(負債1000万円以上)のうち、(1)仕入コストや資源・原材料の上昇(2)価格上昇分を価格転嫁できなかった――ことにより倒産(私的・法的)した企業を集計、分析した。