求人に応募が集まりません...どうしたら「いい人材」を採用できますか?/採用コンサルタント・大塚教平さん(シナリオ・プランニング代表)

「日本一社員を甘やかす会社」を目指して いろんな福利厚生・制度が160個以上!

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今の時代にあった「人を活かす仕組みの会社」と「支持される会社」を目指すためにもオフィス環境にこだわりを

――実は、自社らしい「働き方」にポリシーを持ち、そのための制度も整えられているのが、大塚さん率いるシナリオ・プランニングです。ユニークな仕組みがあるそうで、ぜひ教えてください。

大塚さん 社内制度として、ビュッフェ形式で自分が好きな「福利厚生や制度」を選んで利用できるようにしています。その数なんと、160個以上。今後もどんどん増やしたいと思っています。

――えっ、160個以上も! そうした制度設計にしたきっかけや理由とは?

大塚さん これは言うまでもなく、いろんな社員が在籍していて、それぞれに個性がありますよね。「働き方」に関しても、プレッシャーのある環境の方が頑張れる人もいれば、反対に、できればプレッシャーはない方がいいという人もいます。
であれば、福利厚生の本質を考えたとき、会社としては社員のみなさんがパフォーマンスを発揮するのをフォローすればいいのではないか、と発想を変えました。そこで、好きなモノを選んでもらって、自分でパフォーマンスを発揮できる環境をつくる、ということにしたのです。

――柔軟な考え方をされていますね。

大塚さん まわりからは社員を甘やかしすぎと言われているので、いっそのこと、それをキャッチコピーにしてしまおうと、当社では「日本一社員を甘やかす会社」を掲げました。一見甘やかされているけども、社員が活躍する合理的な仕組みがあり、高い生産性を実現している組織だと自負しています。怠けていそうなのに仕事ができるなんて、カッコいいと思いませんか(笑)。

――さきほどおっしゃっていた、会社として目指したい「働き方」にあわせた制度設計を実践されているわけですね。

大塚さん 僭越ながら、今年はじめて新卒採用の募集をかけ、就職サイトに掲載したところ(これまでは経験者採用が中心でした)、PVのランキングが上位で手ごたえを感じました。今後も「選ばれる会社」でありたいですし、社員のみなさんが気持ちよくパフォーマンスを発揮し、生産性が上がるよう、サポートしていきたいと思います。
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シナリオ・プランニングの「福利厚生」の一例。ビュッフェ形式で自分が好きなものを選べる

――ところで、たとえばどんな福利厚生や制度があるのでしょうか。

大塚さん 複数のカテゴリーから構成されています。(1)女性活躍推進制度の「Lプラ(lady planning)パッケージ」、(2)生産性向上/スキルアップ支援の「SプラLab」、(3)休暇制度の「Sプラ休暇」......まだまだあって長くなってしまうので、ここまでとしておきましょう(笑)。それぞれのカテゴリーにはいくつもの手当てなどを設けています。
たとえば、働きやすさを追求するものが多数ある「Lプラ」には、モチベーションアップのための「Lプラネイル補助制度」(3000円補助/上限月1回)などがあります。女性はキレイな爪でモチベーションが変わってくるもの。"あがる"環境下で働いてもらって、パフォーマンスを発揮してほしい、というわけです。

――また、シナリオ・プランニングでは、「女性活躍」にはとくに力を入れています。

大塚さん 「女性活躍」は、今後の労働人口が減少するトレンドを考えたら、重要なカギだと思います。しかし、産休・育休を経て、キャリアコースからはずれてしまう「マミートラック」は根強い課題です。
仕事復帰後、周囲の同期が役職についていたりすると、少なからず人と比べて「差」を感じてしまいますし、役職という「席」ももうないし...と仕事への意欲にも影響してしまいます。
そこで当社では、仕事復帰後、自動的に昇給する仕組みも取り入れました。これはぜひ多くの企業で導入してもらいたいですね。企業は復帰後の女性に対してウェルカムである、という風潮にならなければ、「女性活躍」はままならないと思います。

――こうしたモチベーションを刺激する制度があれば、仕事の生産性も高まりそうです。

大塚さん まさに、おっしゃるとおりです。ですので、このビュッフェ形式の福利厚生や制度によって生産性の高い組織を実現させて、そのモデルケースとなったらうれしい。真似る会社が出てきて、世の中のワークスタイルの常識が変わったらいいですね。
日本のGDP(国内総生産)はマイナス成長で、生産性の低さは言われ続けています。この先の労働人口の減少を思えば、仕事の生産性向上は欠かせないテーマ。働き方が変わることで、企業が、ひいては日本が変わっていくはずだ、と私は信じています。そのきっかけをつくれたら、という思いがあります。

――すばらしいですね。

大塚さん ちなみに、私の夢としては、自社の福利厚生や制度の数を増やすばかりでなく、それを管理する担当役員(執行役員)も任命できたらと考えています。
どんな仕事をするかというと、食べ物にたとえながら説明しましょうか。担当役員が『あなたはこのスイーツ(=福利厚生・制度)ばかりとっているから、たまにはこっちの野菜(=別の福利厚生・制度)もとって、健康管理(=パフォーマンス管理)をしましょう』みたいな会話をしてですね、社員を気遣うコンシェルジュ役となるのです。このアイデア、どうでしょう? 会社を大きくして、ぜひとも実現させたいですね。

――「求人に応募が集まらない」という話題に始まって、採用に関する課題、それから「選ばれる会社づくり」など、多岐にわたるお話をありがとうございました。

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