職場の「SOGIハラ」「アウティング」、6割超が「だれにも相談していない」
全国の20歳~64歳の就労している男女1万人を対象にした今回の調査では、まず、セクシャリティについて聞いた。「出生時の性」(男性、あるいは女性)と、性自認(自分が認識している性)が一致する異性愛者を「シスヘテロ」と呼ぶ。
たとえば、生まれた時は男の赤ちゃんで、現在も「自分は男だ」と思っており、恋愛の対象は女性だという人は「シスヘテロ男性」になる。そして、「シスヘテロ」に該当しない人を広く「LGBTQ+」(性的マイノリティー)とした。
すると、全体の86.8%が「シスヘテロ」で、13.2%が「LGBTQ+」だった【図表1】。約10人に1人以上という結果だが、調査元によると、単純に日本全体がこうだとあてはめられないという。まだ、自分の心の中でも表面化されず、認識できていない人もいるし、また、悩みを抱えてアンケートに答えられない人もいるからだ。
続いて、職場で「SOGIハラ」や「アウティング」を受けたことがあるか、また、自分は被害にあわなくても、見聞きしたことがあるかと聞いた。すると、現在、過去を合わせると8.2%が「SOGIハラ」の被害を受けたことがあると回答。特に、トランスジェンダーの人の被害経験率は25.9%と突出して多く、全体を大きく上回っている【図表2】。
「アウティング」についても、現在・過去を合わせ4.4%が被害を受けている。「SOGIハラ」と同様にトランスジェンダーの人が17.3%と、一番被害経験が高い傾向となった【再び図表2】。
一方、14.2%が職場で「SOGIハラ」を見聞きしたことがあると答えた。ここでもトランスジェンダーの人の見聞きした経験は27.3%と一番高い。「アウティング」の見聞きでも、全体では8.4%だが、トランスジェンダーの人は2倍の17.3%に達している【再び図表2】。
職場で「SOGIハラ」や「アウティング」をされた時、だれかに被害の相談をしているのだろうか。約6割(60.5%)が「だれにも相談していない」と答えた。特に、トランスジェンダーの人では、外部の相談窓口や労働組合への相談率が全体と比べて高いのが特徴だ。ただし、全体的に上司への相談率が低く、友人や家族に相談する傾向がみられる【図表3】。