生成AIが促す半導体需要
「週刊エコノミスト」(2023年7月18日・25日合併号)の特集は、「半導体黄金時代」。チャットGPTに代表される生成AIの進化で、半導体需要は異次元の増加が期待されるという。
国際技術ジャーナリストの津田建二氏の巻頭レポートが興味深い。
生成AIは「半導体の起爆剤になる」と予想している。チャットGPTには数千個のGPU(画像処理プロセッサー)が学習や推論に使われているが、GPUの1000倍もの性能を持つ巨大なAIチップも登場し、周辺の機能を提供する半導体の需要も出てくると見ている。
最先端の半導体を製造する5兆円の巨大プロジェクト「ラピダス」の行方について、電子デバイス産業新聞特別編集委員の津村明宏氏がリポートしている。
2ナノメートルプロセス量産化を目指しているが、日本には現在40ナノメートル以降のプロセスがなく技術者がいないことから、否定的な意見が多い。しかし、津村氏は「今回がラストチャンス。日本の新たなチャレンジが始まったのだ」と肯定的にとらえている。
最先端ロジック半導体を国内で量産するという決断を評価。北海道の千歳工場は周辺産業にも大きな波及効果をもたらすと期待している。
チャットGPTは、サービス提供者側で非常に大きな電力を消費するため、GPUに代わる半導体の登場が待たれるという。半導体はまだまだ進化を続けそうだ。(渡辺淳悦)