経験者・未経験者ともに、採用人数が回復
また、過去8年間における経験者と未経験者の採用実績人数をみると、2022年度は経験者の採用人数が1社あたり0.99人と、前年度より0.19人増加。未経験者は0.61人と前年度より0.07人増えた。
未経験者比率は2.1%ポイント減少。コロナ禍後の景況感の回復を経て、経験者の採用が増加傾向にあることがわかる。
従業員の規模別にみると、5~299人の企業で未経験者比率が42.5%と最も高かった。採用力が従業員規模の大きい企業と比べて低く、未経験者で人材を補っている可能性がある。
リクルートワークス研究所によると、こうした傾向は前年度と同様という。また、未経験者比率の前年度との差は、すべての従業員規模で横バイもしくは低下。とくに従業員5000人以上の企業ではマイナス26.2%ポイント(2021年度38.9% → 22年度12.7%)と、他の従業員規模に比べて大きく減少した。
業種別では、未経験者比率が減少した業種が多くなっており、なかでも大きく減少した業種は「建設業」で、マイナス20.0%ポイント(21年度53.0% → 22年度33.0%)となった。
一方、最も大きく増えた業種は「小売業」で、プラス17.4%ポイント(同45.3% → 同62.7%)。次いで、「運輸業」のプラス8.4%ポイント(同30,9% → 同39.3%)だった。
さらに、2022年度下半期の中途採用活動の実施割合をみると、「実施した・実施中」の企業は全体では75.6%、「実施しなかった」企業は24.4%だった。「実施した・実施中」の企業は、21年度下半期に3年ぶりに増加となり、引き続き増えた。
リクルートワークス研究所によると、2019年度下半期を境に企業の採用活動が変化。20年度が採用実施では「底であった」ことがわかるという。
従業員の規模別でみると、5000人以上の企業で「実施した・実施中」が90.3%と最も高い。最も低いのは、5~299人の企業の66.4%だった。前年度の傾向と同様に、従業員規模が大きいほど実施割合が高かった。
「実施した・実施中」の業種別では、「機械器具製造業」(84.2%)や「運輸業」(81.3%)、「医療・福祉」(82.1%)をはじめ、さまざまな業種で高かった。前年度は相対的に割合の低かった「金融・保険業」では2021年度の48.0%から22年度は57.1%へ、「飲食店・宿泊業」では56.9%から71.1%へと高まった。
コロナ禍からの景況感の回復や構造的な人手不足から、各業種とも中途採用に積極的に取り組んでいる。