自分のことを愛せる生き方を目指しましょう。

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   「ビジネススキルをいろいろ身につけているけど、あまりうまくいかない」と悩んでいる人はいないだろうか。

   本書「一流の人間力」(ディスカヴァー・トゥエンティワン)は、スキルよりも「人間力」が大切だ、と説いている。歯科医師のかたわら、セラピストとしても活動し、これまでに書いた自己啓発書の累計130万部という著者のことばには説得力がある。

「一流の人間力」(井上裕之)ディスカヴァー・トゥエンティワン

   著者の井上裕之さんは、1963年北海道生まれ。いのうえ歯科医院理事長、歯学博士、経営学博士。東京医科歯科大学などで非常勤講師を務める。独自の成功哲学「ライフコンパス」をつくり上げ、著書に「自分で奇跡を起こす方法」「人間関係が整うとすべてうまくいく」などがある。

   そんな井上さんが考える「人間力」とは、「社会で価値ある人生を生きるための総合力」である。

   高い人間力が身につけば、人間関係がうまくいく、人に好かれ仕事に恵まれる、経済的に豊かになる、人生が楽しくなる、などのメリットがあるという。

人間力を高める7つの習慣

   そのために、人間力を高める7つの習慣を挙げている。

1 「素直さ」の習慣 最も大切な習慣。自分の考え方に固執しない
2 「学び」の習慣 できるだけ上級の資格をもつ
3 「自責」の習慣 自分にも関わりがあると考え、自分なりの解決策を探る
4 「礼儀礼節」の習慣 きちんとしたあいさつをし、気づかいをするのは人間力の基本
5 「立ち直る(失敗)」の習慣 失敗から立ち直り、次に行く
6 「自愛」の習慣 自分を大切にすると、他人も大切にできるようになる
7 「成長」の習慣 成長すると可能性が広がる

   エピソードを交えながら、これら7つの習慣を章立てて解説している。その中からエッセンスを紹介しよう。

   まずは、「素直さ」だ。

   素直とは、相手が言ったことをそのまま受け入れる。人に逆らわないことだ。素直さがあれば、チャンスがつかめ、可愛がられ、知らなかった世界を見ることができるという。その際の魔法の言葉が、「ありがとう」だ。

   営業などで「結果の出ている人」からやり方を教えてもらっても、うまくいかないこともある。それは、過去の習慣を変えるのは難しいからだ。

   では、どうしたら自分を変えられるのか。そのための方法は、「自己投資」だ。特に効果が高いのは、有料セミナーへの参加だそうだ。

   それ以外にも学校に通ったり、個人コンサルを受けたりと、自己投資の方法はいろいろある。

   「学び」の習慣の中でも、どの世代でも学ぶべきは人間力だ。なぜなら、人間力が高い人は、チャンスをつかみやすいからだ。人間力は業種や職種が変わっても必要とされ、転職の際、有利になる。

「一流の人との共通言語」を増やす

   「一流の人との共通言語」を増やせば、自分の価値が高まる、という指摘も教訓に富んでいる。自分の専門とする分野の一流の人に「言葉」を学び、その言葉が使えるようになると、一流の人に一目置かれるという。

   井上さんはあらゆる機会を使って、「言葉」に耳を傾け、学んできたそうだ。専門の歯学はもちろん、経営者のDVDを見たり、講演会に参加したりと、かなりの投資をした。

   話の内容はさることながら、立ち振る舞い、話し方、間の取り方、服装など講師の所作も吸収しようとした。無料の動画サイトの利用も進めている。

   「自責の習慣」のアクションリストも参考になりそうだ。いくつか抜粋しよう。

・すべてを自分の責任と考える
・問題改善シートを作る
・8対2で相手を優先する
・人を紹介する

   「礼儀礼節」の基本は、あいさつと身だしなみだ。身だしなみでは、服装選びも重要だ。

1 会社の特性に合った服装にする
2 迷ったらスーツにネクタイ
3 場に合った服を選ぶ
4 清潔感を大切にする

   また、「今度、お食事でも」という食事の約束を社交辞令で終わらせず、ワンランク上の礼儀に変える返信、という項目も参考になりそうだ。

   井上さんは、「この人との縁は深めておきたい」と思った場合、都合のよい具体的な日程を尋ねるメールを返信する。すると、必ず相手はアクションを起こしてくれるという。具体的な日程調整までもっていくことで、人との縁が広がっていくのだ。

   「立ち直る(失敗)」に関しては、メンタル落ちから抜け出す3ステップを挙げている。

1 メンタルが落ちてきたと思った原因を思いつくだけ机上に並べる
2 一つひとつの問題に向き合う
3 いまの自分にできることに頭をシフトさせ、行動に移す

   イラッとしたときは、「ここは器を大きく」と心でつぶやくといいそうだ。自分の気持ちを抑えるには努力が必要だ。しかし、その見返りもあるという。

   「自愛」の章では、「気がすすまない人との付き合い」をやめる、「性に合わない仕事」をやめることを勧めている。自分のことを愛せる生き方を目指しましょう、と励ましている。

   井上さんは、本来手先はあまり器用ではなかったが、可能な限り多くの医療系セミナーに通い、できる限りの時間を練習に費やした結果、手技が褒められるほど上達したそうだ。成長への強い意欲がそれを支えた。

   成長するためには、自分がやっている業務、仕事の内容について、常に「どういう価値があるか」問うことが大切だ、と書いている。

   ちなみに、井上さんは週の前半は自宅やクリニックのある北海道の帯広で過ごし、後半は出版の打ち合わせやセミナーのある東京のホテル住まいという生活を30年近く続けてきたそうだ。

   常に成長しようという、その生き方に感銘を受けるとともに大きな刺激を受けた。(渡辺淳悦)

「一流の人間力」
井上裕之著
ディスカヴァー・トゥエンティワン
1760円(税込)

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