予約殺到は必至か――。スズキはフラッグシップバイク「Hayabusa(ハヤブサ)」の発売25周年を記念し、限定モデルを7月から世界で順次販売する。
ハヤブサは初代のデビュー当時(1999年)、最高時速が「世界最速」の300キロを超える初の量産バイクとして登場。国内外のライバルを圧倒し、スズキはもちろん、日本が世界に誇る伝説の高性能バイクだけに、バイク好きの関心がいやおうなく高まっている。
抽選は3回に分けて実施、各100台 価格は221万1000円
ハヤブサといえば、一概に比較できないが、クルマでいうところの、日産GT-RやかつてのホンダNSXのような存在だろうか。高性能ゆえにライダーを選ぶが、日本企業の高い技術力を示す稀有な工業製品であることは間違いない。
今回、日本では「Hayabusa 25周年記念モデル」として、300台限定で発売する。スズキのウェブサイト「S-MALL(エスモール)」で予約の受け付けを開始した。
人気モデルだけに、スズキは抽選を3回(各100台)に分けて行う。メーカー希望小売価格は221万1000円(消費税込)だ。
初回の予約期間は、2023年7月3日から始まっていて、10日午後5時まで。第2回目は7月18日10時~25日17時、第3回目は8月1日10時~21日17時(1、2回目のキャンセル分も含む)。
この限定モデルを手に入れたライダーは、バイク好きの視線を集めるとともに、ハヤブサを乗りこなす力量をもったライダーとして一目置かれることだろう。
25周年記念モデルはオレンジを基調とした専用の配色、マフラーとドライブチェーンへの刻印のほか、ガソリンタンクの専用エンブレムが特徴だ。
ハヤブサは初代が「GSX1300R隼」として1998年にドイツで発表され、翌99年に欧州や北米で発売となった。2代目は2007年に登場し、日本では2014年にデビューするまで輸入に頼るしかなく、海外専用の高嶺の花だった。
3代目は2021年にフルモデルチェンジした現行モデルで、排気量1339ccの直列4気筒エンジン、最高出力は138KW(188PS)、最大トルクは149Nm、装備重量は264キロだ。
排気量は2代目と同じだが、先代の145KW(197PS)、155Nmと比べ、新型はパワーダウンとなった。しかし、時速0→100キロ加速は2代目の3.4秒に対し、新型は3.2秒と正常進化を遂げた(加速データは輸出仕様車のスズキ社内テスト値)。
鈴木俊宏社長も自ら試乗「チーム一丸となって歴代最高のモデルに仕上げた」
ハヤブサは日産GT-Rなどと同様、世界中にオーナーズクラブがあり、歴代のハヤブサを所有するライダーも多い。
街乗りからツーリング、本格的なサーキット走行まで、ライダーの好みや技量に応じて世界最高峰の走りを楽しむことができるからだろう。
現在、ハヤブサは米国、欧州、インド、中南米などを含む全世界48カ国で販売し、シリーズ累計販売台数は20万台に上るという。
今回のハヤブサ25周年について、スズキの鈴木俊宏社長は「ハヤブサはスズキを代表するフラッグシップとして世界中でご愛用いただいている。発表から25周年を迎えることができ、皆様に愛していただいたことに深く感謝申し上げる」とコメントしている。
意外と言ったら失礼かもしれない(?)が、鈴木社長は現行3代目ハヤブサの開発にテストライダーとして参加している。革ツナギのレーシングスーツを着て、スズキの浜松市のテストコースで、ハヤブサに試乗する鈴木社長の動画がこれまで公開されている。
鈴木社長は「現行ハヤブサの開発車には私自身も試乗し、チーム一丸となって歴代最高のモデルに仕上げた。ハヤブサはこれからも進化を続けていく」と語っている。
60歳台の経営者がテストコースでハヤブサに試乗するだけでも、たいしたものである。そんな社長の理解あってこそ、ハヤブサの進化があるのだろう。
ともあれ、ハヤブサの25周年記念モデルの抽選は高倍率となることが予想され、クルマ好き、バイク好きの関心を集めるのは間違いない。(ジャーナリスト 岩城諒)