シニアの正社員採用、積極的は35.5%、積極的ではない74.5%
一方で、企業側のシニア採用の状況はどうか――。
「シニア採用への積極性」について聞いた質問では、(1)正社員の場合、「非常に積極的」が「11.0%」、「やや積極的」が「7.8%」、「どちらかと言えば積極的」が「14.7%」となり、以上をあわせて「35.5%」の企業が積極的だった。積極的な業界として目立ったのは、「各種製造業」だった(「やや積極的」が14.1%、どちらかと言えば積極的」が21.1%)。
これに対して、「全く積極的ではない」は「30.8%」、「あまり積極的ではない」は「19.0%」、「どちらかと言えば積極的ではない」は「14.7%」となり、以上をあわせると「74.5%」の企業が後ろ向きという結果になっている。
(2)アルバイト・パートの場合では、「非常に積極的」が「8.0%」、「やや積極的」が「9.0%」、「どちらかと言えば積極的」が「16.3%」となり、あわせて「33.3%」の企業が積極的だった。
これに対して、「全く積極的ではない」は「31.7%」、「あまり積極的ではない」は「19.3%」、「どちらかと言えば積極的ではない」は「15.7%」となった。
つぎに、積極的ではない企業に、その理由を聞いている。正社員では「特に理由はない」は最多で「30.3%」、次いで「人員が充足しているため」が「29.6%」、「健康状態、体力が不安なため」が「23.8%」で続いた。
パート・アルバイトの場合でも、最多は「特に理由がない」(36.0%)で、次いで「人員が充足しているため」(24.3%)、「健康状態、体力が不安なため」(18.3%)と正社員と同じだった。
一方で、シニアの採用に積極的な企業にその理由を質問した。それによると、正社員とパート・アルバイトともに理由のは同じで、「求められる人材像にあっていれば、年齢は関係ない」、「現在就業中のシニア層従業員が優秀なため」、「専門業務に対応するため」、「若年層が採用できないため」などが上位に上がっている。
リクルートジョブズリサーチは企業側のシニアの採用意欲について、
「(シニアの採用に)積極的な企業に理由を聞くと、『求める人材像にあっていれば、年齢は関係ないから』が最も高く、シニアだから採用する・しないではなく、募集ポジションで求めている人材像にマッチするかどうかを、応募者ごとに見極めていることがうかがえます」
とコメントしている。
なお、今回取り上げた「分析レポート」は、以下の2つの調査結果を用いたもの。ひとつ目が「シニア層の就業実態・意識調査2023(個人編)」で2023年3月11日から13日にかけて、インターネットにて調査が行われた。調査対象は、全国の55歳から74歳までの男女で、現在働いておらず、仕事探しもしておらず、誘いがあっても働くつもりはない人は除いたという。回答者は8000人だが、このうち今集計対象は60~74歳の6000人。
もうひとつは「シニア層の就業実態・意識調査2023(企業編)」で2023年2月25日から27日にかけて、企業において人事・採用計画に関わっている人を対象に、600社をインターネット調査したものだ。