女性のバストには、体や心の状態があらわれるといいます。特に仕事やプライベートで忙しい女性は、年齢よりも老けた「老けバスト」になりがち。その改善のカギを握っているのが自律神経です。今回取り上げる本書では、自律神経を整えることで、体も心も健康になり、バストアップまでかなえる、鍼灸師によるセルフメソッドが公開されています。
『「胸(バスト)」からきれいに変わる自律神経セラピー』(正木民子著)青春出版社
更年期に気を付けたい...「老けバスト」とは?
現代人は複雑化した環境の中で生活をしています。とりわけ、更年期世代の女性はとにかく「がんばっている」方が多い、と正木さんは言います。
「子育てが一段落して、再就職のための活動をはじめる方もいるでしょう。その一方で、介護の問題もちらつきはじめます。独身でバリバリ仕事をしている方は、部下もいるでしょうし、責任が増していく状況です。これだけでも『ハードだなあ』と思いますよね。さらにそこに、『更年期』が覆いかぶさってくるのですから大変です」(正木さん)
「『同年代の皆はがんばってるんだ。私もがんばらなくちゃ』と思っていませんか? その考えは改めましょう。人の『がんばり話』を聞いて、『私ももっとがんばらねば』と自分に発破をかける方。『よくがんばってるね』と労われると、『いえいえ、○○さんのほうが大変ですよ』と謙遜する方。このタイプは確実に『老けバスト』になります」(同)
取りたい有休を申請できず、なかなか休むことができない人がいます。専門家は「有休は社員の権利」「残業はすべきではない」などと言いますが、主張し過ぎると、上司に目を付けられて会社に居にくくなってしまいます。正木さんは、次のように続けます。
「体は休みたいけど休める状況にない。更年期の体の声を無視して猛進するのですから、交感神経が圧倒的に優位になるのは当然です。血流の低下や筋肉の緊張に本人は気がついていませんがバストは反応します。『離れバスト』になってしぼんでいくのです。『老けバスト』に気がついて慌ててケアをはじめますが簡単ではありません」(正木さん)
「『大きくなれ』とせっせとバストマッサージをしたり、サプリメントをとったり、筋トレに励んだり。必死になるあまり、どんどん交感神経が優位になってしまっては、育つバストも育ちません。バストケアはがんばればがんばるほど結果が遠のいてしまいます。私は『落ち着いて』『あせらないで』と呼びかけています」(同)
バストケアのがんばりすぎは不要
鍼灸師としての正木さんのポリシーは、みなさんに笑顔で帰っていただくこと。治療院で向き合うのはお客様であるの女性だけですが、治療の成果はその方とつながるすべての方々――配偶者やお子さん、両親や兄弟姉妹、上司や同僚、友人や恋人に及ぶと言います。
小さな蝶の羽ばたきが、いつの間にか大きなうねりになることを「バタフライ効果」といいます。女性は誰しも、その「笑顔」でバタフライ効果を巻き起こす力を秘めています。バストは女性にとって特別な場所。愛着が大きい分、コンプレックスになったときのダメージははかりしれない、と正木さんは言います。
そのうえ、バストは女性の「心身の健康度」を示す場所です。ところが、自分のことを後回しにしているうちに「老けバスト」化はどんどん進みます。バストからの危険信号を見逃して、自律神経の乱れを正すことなく過ごした結果、心身の健康が損なわれる。がんばる女性ほど、そんな危うさと隣り合わせなのです。
この機会に、いまの環境を振り返ってみましょう。そして、自分のバストを正しく検証することが大切です。バストにもたらされた「美」は、あなたの心と体も健康にして、よりよい人間関係へとつながっていくことでしょう。(尾藤克之)