「携帯電話番号持ち運び(MNP)ワンストップ方式」が2023年5月24日から始まり、1か月以上がたった。他社のサービスへの乗り換えが簡単になったが、乗り換え先として今、どのサービスが人気なのだろうか。
モバイル市場専門の調査会社「MMD研究所」(東京都港区)が2023年6月30日に発表した「MNPワンストップ方式に関する調査」によると、新料金を始めたばかりの「Rakuten最強プラン」が一番人気だという。
また、「ワンストップ方式」への不満も明らかになった。Web上でしか利用できないため、携帯ショップに頼るユーザーの間で、「店舗でも手続きできるようにしてほしい」とう声が高まっている。
これまで2社での手続きが必要だったが、1社だけでOKに
「MNP」(Mobile Number Portability)とは「電話番号持ち運び」のこと。携帯電話会社が替わっても、同じ番号を使い続けることができる仕組みだ。
総務省公式サイト「電話番号を変えずに乗り換えられるの?」などによると、これまでは、電話番号持ち運びを利用するには、契約中の会社と乗り換え会社の2か所で手続きが必要だった。
たとえば、A社からB社に乗り換える場合、まずA社に「MNP予約番号」の発行を依頼する。そのうえで、B社の販売店やWeb上で予約番号を示して、新しい契約を結ぶのだ。手続きが2段階で手間がかかるうえ、契約中のA社による利用者の過度な引き留め行為が横行してきたため、乗り換えが進まない要因となっていた。
そこで、総務省が主導して5月24日から始まった「MNPワンストップ方式」では、乗り換え先B社だけで手続きが済むようになった。A社解約に伴う説明もB社で受け、A社とのやりとりが不要になった【イラスト1】。
NTTドコモ、ソフトバンク、KDDI、楽天モバイルの大手4社に加え、MVNO(格安スマホ)から日本通信、ジャパネットたかたが参加している。
ただし、希望者が多かった店舗での手続きは見送られ、携帯各社のWeb上だけとなった。店舗で受け付けると、事務作業が煩雑になるなどの理由から各社の抵抗にあったとみられる。
そのため、従来からの「ツーストップ方式」も続けられている。現在の携帯会社で「MNP予約番号」の発行を申請、乗り換え先の携帯会社で新規契約を申し込む点は同じだ。転出手続きの手数料はWeb上では無料になったが、店舗では1100円以下がかかる場合がある。【イラスト2】。