待ったなしのスピード優先、現金支給より現物支給を!
――玩具自動車もプラス12.4%と、ずいぶん上がっていますね。
遠藤さん「玩具自動車は、実は消費者物価指数では、『タカラトミー』のトミカの銘柄しか調査対象にしていません。トミカは最近、大幅に値上げしました。1つの銘柄であることと、赤ちゃんがトミカで遊ぶだろうか、ということもあって、玩具自動車を外した『赤ちゃん物価指数』も作ったのです」
――なるほど。ところで、【図表1】を見ると、「赤ちゃん物価指数」が一般の「消費者物価指数」を上回る上昇となったのは、今年に入ってからですね。これはなぜですか。今後も上昇は続くのでしょうか。
遠藤さん「昨年までは、赤ちゃん関連用品のメーカーも我慢に我慢を重ねてきたのですが、今年に入ってどんどん価格転嫁する動きになっています。6月以降、伸び率はもっと上がり、しばらく続くでしょう。負担感の高まりは1年くらい続くでしょう。
たとえば、ベビーカーやチャイルドシートは、『消費者物価指数』の項目に入っていないので数値はとっていませんが、輸入品が多いので、実感として円安もあってかなり上がっています。これらの品物は、生まれたときにまとめ買いする人が多いので、大変な負担になると思います」
――赤ちゃん世帯は、どうやって生活防衛をすればよいのでしょうか。
遠藤さん「大人なら、モノの値段が上がれば、節約したり、量を減らしたりすればいいですが、赤ちゃんの場合、粉ミルクや紙おむつを減らすわけにはいきません。赤ちゃん用品はすべて生活必需品です。
政策として、少子化対策はもちろん重要です。児童手当をどうするかなど、現在時間をかけてやっています。しかし、赤ちゃん物価高騰の問題は、少子化対策とは別に考えてほしい。困っている人が多いのです。物価対策としてスピーディーな対応が必要です。
時間をかけて現金を支給するより、今すぐ現物支給をしてほしい。粉ミルクや紙おむつの現物を配布するとか、お店で買えるクーポン券を配るとか、待ったなしの素早い対策をとってほしいです」
(福田和郎)