【よくわかる新規上場株】エコナビスタ社員の平均給与はいくら? デュアルAI搭載の「自己成長型睡眠センサー」を開発

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   就職先や転職先、投資先を選ぶとき、会社の業績だけでなく従業員数や給与の増減も気になりませんか?

   上場企業の財務諸表から社員の給与情報などをさぐる「のぞき見! となりの会社」。今回取り上げるのは、「睡眠解析技術で未来社会に健康と安心を提供する」をミッションに掲げ、2023年7月26日に東証グロース市場に上場予定のエコナビスタです。

   エコナビスタは2009年の設立当初、住宅内の家電や照明等を1つのリモコンで遠隔制御する「ホームコントロールシステム」の開発を行っていました。この技術を応用して2014年に、在床判定センサーによる「高齢者見守りサービス」と、施設入居者の生活リズムを確認できる「ライフリズムナビ」をリリースしています。

東京ガス等大手企業との提携で業績伸長

   それではまず、エコナビスタの近年の業績の推移を見てみましょう。

   2019年10月期まで売上高1億円台にとどまっていたエコナビスタですが、2020年10月期からは業績が急速に伸長しています。この背景には、大手を含むさまざまな業界の企業との提携があります。

   エコナビスタは、従来のサービスをクラウド型に移行した「ライフリズムナビ+Dr.」を2016年にリリースし、介護施設への初導入を果たすと、この実績をもとに2018年に東京ガスとの資本業務提携を締結します。

   2019年には、医療法人やソフトウェア開発会社などと業務提携。2020年にもヒューリックなどと業務提携を締結しています。

   2021年には、東京ガスとの協業により一般家庭向け見守りサービス「ライフリズムナビ+HOME」を同社のサービスとしてリリース。また、業務提携したアイホン株式会社とナースコール代替サービス「見守りコール」をリリースし、売上高の大幅増につながっています。

   2022年3月には、睡眠データやバイタルデータ取得のための「新型SleepSensor」をリリース。デュアルAIを搭載し、データ取得精度を抜本的に改善しています。

   このような提携により、2020年10月期の売上高は3.8億円、2021年10月期は同5.4億円、2022年10月期は同8.9億円と順調に伸長。加えて、営業利益率は24.5%、33.9%と高い水準となっています。

「エッジAI」と「クラウドAI」が相互に自己学習を繰り返す

   2022年3月リリースの「新型SleepSensor」は、東京ガスおよび三菱ケミカルインフラテックと共同開発した機器で、ベッドのマットレス下に設置して使うもの。業界初の「デュアルAI」の搭載により、リアルタイムに、さまざまなベッドで、あらゆる動きが分かるようになっています。従来対応できなかったエアーベッドなどにも対応できるようです。

   デュアルAIとは、睡眠センサーに生体情報を学習する「エッジAIシステム」と、200種類以上のスクリーニングフィルターが稼働する「クラウドAIシステム」の2つを備えたもの。これらが相互に自己学習を繰り返し、自己成長を実現します。

   自己成長型睡眠センサーにより、対象者の特徴を自動判定し、生体情報を正確に把握できるようになり、従来の見守りセンサーを導入した介護施設を悩ませていた「誤発報」や「誤反応」「通知遅延」を大幅削減し、介護者の負担軽減を可能にします。

   もうひとつの事業ポートフォリオとして「受託研究開発事業」を行っており、蓄積したビッグデータと健康状態の推移を予測する疲労回復度予測AIや認知症AIなどを中核に、介護・医療業界のほか住宅関連事業者や衣類・寝具メーカーなど様々な共創パートナーと連携しています。

永続的に蓄積される「睡眠/生活習慣ビッグデータ」が強み

   エコナビスタの従業員数は、2018年10月期はわずか7人。2019年10月期からも、10人、12人、15人と大きく増えず、2022年10月期にようやく29人となりました。

   2023年5月末現在の従業員数は32人。平均年齢38.5歳、平均勤続年数2.7年、平均年間給与は535万1897円です。業績の伸びと平均年齢から見ると、給与水準はやや低いように見えますが、上場に備えて抑制していた可能性もあり、上場後は改善されるかもしれません。

   エコナビスタの採用サイトを見ると、開発エンジニア職、インフラエンジニア職、総合職(カスタマーサクセス職ほか)、経理職での募集が行われています。

   開発エンジニア職(システムエンジニア:フルスタックエンジニア/バックエンドエンジニア/フロントエンドエンジニア)の募集要項によると、担当するのは「ライフリズムナビ+Dr.」および「ライフリズムナビ+HOME」の開発・運用。想定年収は400~700万円です。

   近年大企業では、DXによる「新規事業の開発」を命題とされています。このため、独自のデジタル技術をもったベンチャー企業との業務提携や資本提携が積極的に行われています。この動きはしばらく続くと考えられます。

   目論見書によると、エコナビスタのコアコンピタンス(中核的な競争力)は、「ライフリズムナビ」を通じて永続的に蓄積される「睡眠/生活習慣ビッグデータ」と、健康状態推移予測AIを生み出す「睡眠データ解析技術」、健康状態推移AIを実装した「模倣困難性の高いソフトウェア/ハードウェア開発メソッド」とのこと。

   このようなデータやノウハウは、介護業界以外でも活用の余地があり、新たな提携に伴う事業の成長が期待されます。(こたつ経営研究所)

こたつ経営研究会
こたつ経営研究会
有価証券報告書や決算説明書などの公開情報を分析し、会社の内情に思いをめぐらすニューノーマルな引きこもり。昼間は在宅勤務のサラリーマンをしながらデイトレード、夜はネットゲームをしたりこたつ記事を書いたりしている。好きなピアニストはグレン・グールド。嫌いな言葉は「スクープは足で稼げ」。
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