日本企業トップの3大特徴「生え抜き」「ジイサン」「ニッポン人」
こうしたことから政府内に、「ぬるま湯」的な経営陣に「カツ」を入れ、日本経済を活性化させるために、企業トップの報酬を思い切って引き上げ、欧米のように「成果」に応じた「変動制」を導入すべきだという意見が起こっている。
2021年8月、当時の西村康稔経済財政再生相が、ベンチャー企業の経営者ら私的なブレーンを集めて「企業組織の変革に関する研究会」を立ち上げた。
その動きを、J-CAST 会社ウォッチ編集部では2021年8月24日付で、「『生え抜き』『ジイサン』『ニッポン人』...日本企業トップの恥ずかしい現実を政府報告書が暴露した狙いは?」という記事で紹介した。
西村氏らの「研究会」はその後、内閣府の公式サイトに「プライム市場時代の新しい企業組織の創出に向けて~生え抜き主義からダイバーシティ登用主義への変革~」という報告書を公開している。
報告書では、ニッポン企業トップの3大特徴を「生え抜き」「高齢者(ジイサン)」「ニッポン人」ととらえて、次のように分析した。
「日本企業の失敗事例を見ると、ほとんどは経営者の『無能力』が原因であり、経営者は圧倒的に生え抜きの男性が多く、多様性が乏しい。一度でも転職すると経営者になれないし、経営経験が乏しく、スキルもない人物が社内の政治力学によってトップについている。
成果が出ない場合は任期が到来していなくても辞めればよいのに、辞めさせられない。(欧米のようにあちこちの企業を渡り歩く)『プロの経営者』を活用すべきだ」
そして、こう提案している。
(1)単年度主義ではなく、長期の業績との関係をしっかり見る。そのためには経営者の情報をすべてオープンに開示する。成果をあげられない経営者はすぐに退場させ、成果をあげている経営者には長く続けてもらってもよい。
(2)本人の努力による業績向上か、それ以外の要因によるものか、業績を客観的に把握する指標や数式をつくる。
(3)たとえば、株価をいくら増加させたかではなく、同業他社と比較してどれだけ増加させたかなど、客観的に比較・検証できる評価制度が必要だ。
経営者に対する厳しい目が必要だ、強調したのだった。(福田和郎)