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君たちはどう働くか?【2】 日本の高校生、「今の自分が好き」54.5%、「自分はダメな人間」78.6%...米中韓の比較で際立つ 「自分の国の未来は明るい」わずか32.0%(鷲尾香一)

   自分の将来に不安を感じている日本の高校生は約8割――。国立青少年教育振興機構が2023年6月22日に公表した「高校生の進路と職業意識に関する調査」から、現在の高校生の考え方を取り上げる2回目は、自己に対する意識や生活、社会に対する意識について考察する。

米中韓と比較した調査 日本は「自分の将来は明るい」53.9%と低く、「自分の将来に不安」79.3%と高く...悲観的な結果に

   <君たちはどう働くか?【1】 日本の高校生、仕事は「生活のため」7割で突出 韓国は「生活」「楽しさ」同じくらい、米中は「やりがい」「楽しさ」多いのに(鷲尾香一)>の続きです。

   まず、自分自身をどのように思っているのかでは、「いまの生活には満足している」と回答した割合は日本の84.3%に対して、米国67.2%、中国76.1%、韓国77.7%と、4か国の中で日本が最も高い。

   しかし、「今の自分が好きだ」については、米国74.5%、中国70.9%、韓国67.8%に対して、日本は2018年の48.4%から増加してはいるものの、54.5%と4か国の中で最も低い。(グラフ1)

   これを裏付けるように、「自分はダメな人間だと思うことがある」では、米国60.5%、中国51.4%、韓国48.8%に対して、日本は2018年の80.8%から減少してはいるものの、78.6%と4か国の中で最も高くなっている。(グラフ2)

   将来に対しては、「自分の将来は明るい」との回答は、米国81.7%、中国64.0%、韓国62.1%に対し、日本は53.9%にとどまっている。その半面、「自分の将来に不安を感じている」は日本が79.3%と米国の61.8%、中国の63.4%、韓国の60.4%を大きく上まわっている。

   特に日本では、2014年71.0%、2018年74.6%、2021年78.6%、2022年79.3%と年々、確実に「自分の将来に不安を感じている」高校生の比率が増加していることは、憂慮すべき事態だと言えよう。(グラフ3)

日本は「できるだけ高い地位に」13.1%、「困難があっても挑戦してみたい」22.5% 一方で、「暮らしていける収入があればのんびりと暮らしていきたい」84.5%

   では、社会に対してはどのように感じているのか――。

   これについては、「自分の国の未来は明るい」では、米国は49.9%、韓国は50.4%と両国とも半数近いのに対して、日本は32.0%にとどまる。つまり、高校生の約3割しか、日本の将来を明るいと考えていないという、何とも悲しい結果だ。(グラフ4)

   さらに、「将来は今よりも経済的に発展していると思う」でも、韓国が71.8%、米国が69.6%に対して、日本は55.4%と両国を大きく下回っている。

   ところが、意外なことに、「自分の国で暮らすことに満足している」では、90%を超えているのは日本だけだ。日本では2014年91.5%、2018年92.9%、2022年91.0%と9割を上回る結果が続いている。米国の74.8%、韓国の64.6%に比べると非常に高い。(グラフ5)

   こうした自分の国の将来を予想しながら、自分は将来、どのように暮らしていきたいと考えているのかでは、非常に特徴的な結果となっている。

   「できるだけ高い地位に就きたい」では、中国が31.7%、米国が30.5%、韓国が27.6%に対して、日本はわずかに13.1%でしかない。

   また、「やりたいことにいくら困難があっても挑戦してみたい」でも、米国が46.3%、中国が38.2%、韓国が28.4%だが、日本は22.5%にとどまり、4か国中で最も低く、米国の半分に満たない。

   こうした傾向が、「自分の会社や店をやりたい」では、韓国が64.1%、中国が58.6%、米国が53.5%といずれも半数を超えているのに対して、日本では約2割の22.9%と非常に低い結果となって表れている。(グラフ6)

   極めて特徴的なのは、「望む仕事につけなくても、がまんして働くべきだ」に対して、中国では27.5%、米国では24.7%、韓国でも16.9%が回答しているのに対して、日本ではわずかに5.2%にとどまっている。

   この傾向が、「暮らしていける収入があればのんびりと暮らしていきたい」に対して、中国では62.0%、米国では73.4%、韓国では78.5%に対して、日本では8割を超える84.5%という結果につながっているのかもしれない。

   筆者は、日本の高校生は米国、韓国、中国の高校生に比べ、挑戦する意欲が少ないとか、安定志向が強いなどと言うつもりは毛頭ない。こうした高校生が持つ意識や考え方は、これまでの大人が作り上げてきたものであり、変えていかなければならない点があれば、それは大人が反省し、努力していくべきものだからだ。