上の役職者ほど「自分は部下思い」と勝手に思い込み...
さて、最後に興味深い調査結果を紹介しよう。【図表4】は、職場でのコミュニケーションについて、「うまくとれているかどうか」聞いた結果だ。一番下のグラフが「パート・アルバイト層」で、それ以外が正社員である。
これを見ると、正社員では「役職なし」に近づくほど「コミュニケーションをうまくとれていない」という回答が増えていくのがわかる。逆に、「マネージャー層」「経営者・役員層」と上位に行くほど、「コミュニケーションをうまくとれている」と自負する割合が増えていく。
この【図表4】からは、役職者は「部下とうまくコミュニケーションを取っている」と思っているが、一般社員はそうは思っていないという構図が見て取れる。こういった認識の相違から、親しみを込めたつもりが「ハラスメントだ」と言われてしまう悲しいすれ違いが生じることもあるようだ。
くれぐれも、コミュニケーションの促進と同時に、ハラスメント配慮の向上にも気を配っていただきたいところだ。
調査を行なったアスマークの担当者はこうコメントしている。
「お酌や力仕事などの性別による役割の慣例は『良くない』と思われている反面、未だに多く行われている実態は印象的でした。『ハラスメントについてもっと気にするべき』の声に応えるためにも、慣例として無意識的に行っているようなことも、慣例自体が差別・ハラスメントにつながっていないか気にするなど、意識的に対策していくことが求められます。
一方で、気にしすぎて何もできない・コミュニケーション不足に陥るなども避けたいところです。いろいろな階層・性別・人種の社員の声に耳を傾け、多様な視点を理解・配慮しながら各企業にとっての『より良い組織環境』を模索し続けていく必要があると言えます」
調査は2023年3月10日~15日、全国の15歳から60歳以上の会社員男女(パート・アルバイト含む)1万人(男性6297人、女性3703人)にインターネットを通じてアンケートを行なった。(福田和郎)